超名作『ショーシャンクの空に』、実はタイトルが紆余曲折していた
#金曜ロードショー #しばりやトーマス #金ロー
5月20日の金曜ロードショーは、視聴者リクエスト企画の第5弾『ショーシャンクの空に』が放送される。1994年公開の本作は当時の批評家らに大絶賛され、翌年のアカデミー賞に7部門ノミネート(受賞はゼロ)したが、興行成績は振るわず、世間の評価と興行がもっとも乖離した映画として知られている。
このタイトルを聞くと筆者は、映画マニアだった青年時代の甘酸っぱい記憶が蘇ってくる。
当時スティーブン・キングの原作本を読むほどハマり、映画ともども周囲に勧めたものの「刑務所の映画ってなんか地味」「知らない役者しか出ていない」と敬遠され続けたのだった。「タイトルの意味がよくわからない」とも言われた。
キングの中編『恐怖の四季』の春夏篇に収められた時のタイトルは『刑務所のリタ・ヘイワース』というもの。リタ・ヘイワースとは1940年代に活躍したハリウッド女優で、第二次世界大戦時には前線の兵士を癒すピンナップ・ガールとしても人気であった。(作品内でリタ・ヘイワースが重要なキーワードになっている)
小説の原題は『Rita Hayworth and Shawshank Redemption(リタ・ヘイワースとショーシャンクの贖罪)』。それが映画された時のタイトルが『The Shawshank Redemption(ショーシャンクの贖罪)』。映画の邦題が『ショーシャンクの空に』と変えられている。90年代の日本ではリタ・ヘイワースの名前もそれほど知られてないだろうし、贖罪という字は難しすぎると判断されたのかもしれない。
……と、あらすじの紹介に入る前に、余計な知識をひけらかしたくなる映画なのだった。
1947年のアメリカ・メイン州(スティーブン・キングのホームグラウンド)。銀行員のアンディ(ティム・ロビンス)は妻とその不倫相手を殺してやろうとするのだが、酒を煽っているうちにどうでもよくなり、帰宅する。ところがその夜、妻と不倫相手は銃殺される。拳銃を持っていたこと、アリバイを証明できなかったことから終身刑の判決を受けたアンディは、ショーシャンク刑務所へ収監される。
新入りのアンディは刑務所暮らしが長い、調達屋のレッド(モーガン・フリーマン)から鉱物採取用のロックハンマーを購入することで仲良くなるが、インテリの銀行員という経歴が災いし、荒くれものの囚人たちから暴行を加えられる。
囚人らが屋上の修理作業に駆り出された時、残忍な振る舞いで知られる刑務主任のハドリーが、兄の遺産相続問題を抱えていることを聞いたアンディは銀行員の知識を利用して相続で大金を持っていかれないようにするから、作業仲間にビールを奢ってくれと提案。この一件でアンディは、囚人仲間とハドリーの信頼を勝ち取る。
その後アンディを敵視していた囚人のボグスから、暴行を受け入院。ボグスはハドリーら刑務官から逆に痛めつけられてしまう。退院してきたアンディの監房には「退院祝い」としてレッドから送られたリタ・ヘイワースのピンナップが貼られていた……。
ノートン刑務所長(ボブ・ガントン)は囚人を厚生の名目で野外作業させていたが、その利益をピンハネするなどして懐を温めており、それら不正経理をアンディに任せていた。
アンディの懲役から20年近くが経った頃、刑務所にコソ泥の罪で捕まったトミー(ギル・べロウズ)がやってくる。トミーはアンディが懲役された理由を聞いて驚愕する。別の刑務所に居た時、ある男が強盗に押し入ったところ、二人の男女を殺したが、警察は女の夫である銀行員を犯人と間違えて逮捕したのだと。
トミーはアンディの無実を証明できる人間なのだ。再審請求をしてもらうよう頼むがアンディを外に出せば不正経理が発覚することを恐れ、所長は彼を懲罰房に閉じ込めてしまう……。
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