『トップガン マーヴェリック』絶賛の理由、そして連想した傑作続編とは
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本物の戦闘機に俳優が乗り撮影した空中戦
本作の最大の見どころはアクション、それも本物の戦闘機に俳優が乗り撮影したからこその、リアリティのある空中戦が体験できることだろう。
前作『トップガン』の時もトム・クルーズは実際にコックピットに乗り込み撮影をしていたのだが、その他のキャストたちは訓練経験が浅く、その映像は残念ながら使うことができなかったのだそうだ。だが、今回の『トップガン マーヴェリック』の出演者たちは何ヶ月も前から訓練を受け、飛行やGの基本やメカニズムに慣れることができた。前作とは違って、トム・クルーズ以外の俳優たちも実際に飛行中のコックピットで演技をしているのだ。
時速600マイル(約965km)に達する戦闘機では強力なG(重力加速度)もかかるため、それに耐えるだけでも容易なことではない。そのため、訓練生を演じる俳優たちはトム・クルーズが特別に設計した訓練プログラムで文字通り“昇進”しなければならなかった。つまり、俳優たちの奮闘が劇中の役ともシンクロする、ある意味で半ドキュメンタリー的な側面も持っているとも言える。
そして、劇中のミッションは「奇跡がいくつも起きないと達成不可能」であり、なおかつ「一手を誤れば死ぬ」危険と常に隣り合わせ。本物の戦闘機に乗ってこそのリアリズムのある映像と、スピーディーに打ち出されるハラハラドキドキは「手に汗握る」という言葉でも足りない。今これをスクリーンで観ずに何を観るんだと言うほどの、かつてない、もう2度とないかもしれない映画体験だった。
作り手に最大級の感謝を
『トップガン マーヴェリック』の監督は、2012年に亡くなったトニー・スコットに代わり、ジョセフ・コシンスキーが務めている。命を落とした人物の意志を継ぎ続編が作られたということは、劇中の物語ともシンクロしている。
ジョセフ・コシンスキーは『トロン:レガシー』(10)でも何十年ぶりの続編を手がけ、『オブリビオン』(13)ではトム・クルーズとタッグを組み、さらに消防士たちの実話を描く『オンリー・ザ・ブレイブ』(17)でリアル路線の作品も手がけた実績もあるなど、今回の映画にはピッタリの人選だったと言って良い。
前作をいかにリスペクトした内容であるかは、上記にあげたドラマや迫力の映像はもちろん、オープニングの画と耳に残るテーマ曲からも大いにわかるだろう。そして、最後まで観れば「これほどまでに愛情に溢れた映画を作ってくれてありがとう」と作り手に最大級の感謝を多くの方が捧げるのではないか。筆者が試写で本作を観た時も、観客からは自然と拍手が起こり、会場は多幸感に包まれていたのだから。その意味でも、ぜひ映画館で観ていただきたい。
『トップガン マーヴェリック』
2022年5月27日(金)公開
監督:ジョセフ・コシンスキー
脚本:アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー、クリストファー・マッカリー
出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、ジョン・ハム、グレン・パウエル、ルイス・プルマン、エド・ハリス、ヴァル・キルマー
原題:『Top Gun: Maverick』/2022年/アメリカ/シネスコ/ドルビーSRD/上映時間:2時間11分
字幕翻訳:戸田奈津子、吹替翻訳:李 静華、字幕・吹替監修:永岩俊道(元航空自衛隊空将)
配給:東和ピクチャーズ
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