『トップガン マーヴェリック』絶賛の理由、そして連想した傑作続編とは
#映画 #ヒナタカ #トップガン
『クリード』を彷彿とさせる理由
あらすじを紹介しよう。アメリカ海軍のエリートパイロット養成学校のトップガン、その伝説のパイロットのマーヴェリック(トム・クルーズ)が教官として帰ってきた。訓練生の中には、かつてマーヴェリックとの訓練飛行中に命を落とした、相棒グースの息子ルースター(マイルズ・テラー)の姿もあった。訓練生たちは絶対不可能なミッションに挑むための訓練を重ねるのだが……。
『トップガンマーヴェリック』と『トップガン』の関係および物語は、『クリード チャンプを継ぐ男』(15)に対する『ロッキー』(76)に近い。両者とも長い時を経ての(後者はその間にもシリーズがあるが)続編であり、どちらも命を落としてしまった相棒(親友でありライバル)の息子に、指導をする立場で向き合う物語が共通しているのだ。
どちらの作品でも、息子は単純な憎しみだけとは言えない、複雑な感情を父のかつての相棒に覚えている。一時は「分断」をされていた彼らの関係がどのように変化し、帰着していくか、そのドラマが大きな魅力となっている。
長い時を経たからこその“切なさ”込みのドラマ
『トップガン マーヴェリック』では、その他にも型破りな教官および訓練生たちの成長の物語、前作のキャラクターとの関係性、難攻不落なミッションに挑む様が展開していく。一本の娯楽映画としてバランス良く仕上がっていて、『トップガン』ファンへのサービスを込めるだけでなく、長い時を経たからこその“切なさ”込みのドラマが紡がれていることも特筆すべきだろう。
前作から36年後のマーヴェリックは、人々が存在すら知らないような航空機のテストをしている。バーの片隅で、現役の訓練生たちと距離を取り、彼らのことをかつての自分たちを重ね合わせるように、寂しそうに見ているというシーンもある。今回のマーヴェリックには、長年の培った経験があってこその誇らしさと、昔の自分のままではいられない時の流れと、覆せない過去の出来事の残酷さをも感じさせるのだ。
その切なさのドラマは、とある形で見事に昇華されることになる。『トップガン』から『トップガン マーヴェリック』と合わせた物語として、ここまで理想的な物語が紡がれるとは思ってもみなかった。矛盾しているようだが、「本当に見たいものを見せてくれる」ことこそが意外でもあり、それが劇中最大の感動でもあった。
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