”探偵”が増加してるって知っていた? 住居侵入やストーカー被害へも発展
#鷲尾香一
テレビドラマや映画ではお馴染みの探偵だが、実際には関わりを持つ人は少ないだろう。ところがその探偵が増加している。この10年間で探偵業の届出は1000件以上増加し、20年だけで300件も増加した。
警察庁が発表した「令和2年中における探偵業の概況」によると、20年末の探偵業の届出数は6379件と前年比313件(5.2%)の増加となった。増加は6年連続でここ10年間では15年を除き増加が続いている。10年間で探偵業の届出数は1029件(19.2%)も増加している。(表1)
20年末の探偵業届出数のうち個人が4648件、法人は1731件と個人が圧倒的に多く、72.9%を占める。
20年の探偵業の新規届出数も790件と前年から78件(9.9%)増加しており、5年連続の増加となった。
このうち個人は610件で前年から52件(9.3%)増加して、5年連続の増加、法人は前年比25件(16.2%)増加した。新規届出数でも個人の増加が目立っている。(表2)
実は、日本には調査業を規制する法律がなかったため、調査業のうち探偵業について、「探偵業の業務の適正化に関する法律」(探偵業法)が07年6月20日に施行された。
同法では、探偵業務を「他人の依頼を受けて、特定人の所在または行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として、面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する」業務と定義している。
ただし、報道機関(報道を業として行う個人を含む)の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われるものは除かれる。
また、学術調査活動のように調査結果に何らかの分析評価を加えることが前提とされるものや、弁護士活動、税理士活動のように特定人の所在または行動についての情報を収集することについて依頼を受けているとはいえないものも除かれる。
とは言え、個人のプライバシーを侵害する可能性という点では、報道のための調査であっても相当にグレーの部分があると言わざるを得ないのではないか。
また、以下の7項目(欠格事由)に該当する者は、探偵業を営むことはできない。
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・禁錮以上の刑に処せられ、または探偵業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
・最近5年間に営業停止命令・営業廃止命令に違反した者
・暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
・心身の故障により探偵業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの(精神機能の障害により探偵業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断および意思疎通を適切に行うことができない者をいう)
・営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記1~5または下記7のいずれかに該当する者
・法人でその役員のうちに上記1~5までのいずれかに該当する者があるもの
探偵業の監督は公安委員会によって行われ、立ち入り検査、指示、営業の停止命令・廃止命令などを命ずることができ、違反した探偵業者に対しては、最大で1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。
20年に違反行為による行政処分を受けた探偵業者の営業停止はゼロだったが、適正な運営を行うための指示は19件に上った。一方、前述の7項目の欠格事由に該当し、営業廃止命令を受けたのが4件となっている。(表3)
この4件はいずれもが欠格事由の第2号「禁錮以上の刑に処せられ、または探偵業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者」に該当したケースとなっている。
また、20年の法律違反による検挙数は1件にとどまっているが例年、無届営業による検挙が数件発生している。同時に住居侵入、軽犯罪法違反、ストーカー規制法違反等による検挙者が発生している。
身近な存在とは言い難い「探偵」は増加の一途を辿っており、その調査活動の中では住居侵入やストーカーという被害が発生しており、いつ自分の身にも降りかかるかもしれない。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事