「テレビ見なくなった」への処方せん 蛙亭イワクラ&吉住の“地声”トーク、と阿佐ヶ谷姉妹
#テレビ日記
どぶろっく・江口「♪筑後川の土手でブラジャー拾ったことがある~」
もうひとつ、対案を。佐賀県のローカル番組『どぶろっくの一物』(サガテレビ)だ。放送圏外の人も、TVerなどで視聴可能です。
『どぶろっくの一物』は、佐賀県出身のどぶろっく(森慎太郎、江口直人)の2人が、佐賀を中心にロケをする番組である。街の人に「自信を持って紹介できる一番のもの」や、「あなたにとってオンリーワンのもの」を聞き出しつつ、飲食店や温泉など佐賀のローカルな情報をお届けしていく。タイトルにある「一物」とは、彼らが『キングオブコント』(TBS系)で優勝したときに歌い上げた「イチモツ」ではなく、「ナンバーワンやオンリーワンの物」という意味だ。
もちろん、どぶろっくの2人をメインに据えているので、ロケにはときおり下ネタが挟まれる。2人は温泉のお湯が「ヌメヌメ」だと聞いて興奮したりする。孫を連れた高齢者から「イチモツのおじさん」と声をかけられることもある。江口は熱狂的な女性ファンからもらったというブラジャーっぽいマスクをつけている。
14日の放送では、オープニングで彼らの代表曲のひとつ「言いたいことがある」を弾いて、「♪筑後川の土手でブラジャー拾ったことがある~」とローカルにアレンジした下ネタを歌い上げていた。まるで営業ネタのよう。
なお、佐賀での放送時間は深夜ではない。夕方6時だ。下ネタの印象が強いどぶろっくがその時間帯の番組に番組を持っているというか、出演していること自体がこれまであまりなかったかもしれない。
だが、下ネタ以上に印象的なのは、街の人たちとどぶろっくのやり取りだ。江口は「俺たち、芸人のなかでも有名なぐらいのコミュ障です」と自虐する。しかし、そんな森と江口の街の人たちとのコミュニケーションは、高すぎず低すぎない適度なテンション。テレビ的なおもしろさもありつつ、とても自然だ。
街ゆく人たちは彼らにあれこれ話してくれる。出会ってすぐに家にあげてくれたりもする。「エロ仙人」を自称するおじさんが、番組側がカットせざるをえない下ネタを話しはじめたりする。小さな女の子が「あそこで拾った」と宝物のように手に握っていた葉っぱを、番組ステッカーと交換して江口にあげる微笑ましいシーンがあったりもする。街の人のほうから彼らに話しかけるシーンも多い。
もちろん、うまくいったコミュニケーションを中心につなげて編集しているのだろう。そうだとしても、そのうまくいったやり取りからは、佐賀の人たちと無理なく交流している様子が見てとれる。2人の人見知りが、人当たりのよさや謙虚さになっているのだろうか。番組を見る限り、彼らは周囲に結構グイグイ声をかけていくのだが、厚かましさはほとんど感じさせない。そんな番組はとても見やすい。
佐賀出身の浅井企画の2人がお届けするローカル番組。最近のテレビは大阪芸人がうるさすぎて……という人にもおすすめだ。
え? いかにソフトでも下ネタはやっぱり受け付けない、ですって? そんな潔癖な人も安心してほしい。テレ朝の「バラバラ大作戦」では、阿佐ヶ谷姉妹の2人が阿佐ヶ谷をロケする『阿佐ヶ谷ワイド!!』が放送中である。
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