『ハニーレモンソーダ』SnowManラウールがキラキラ世界へあなたをブチ込む！ オトナの“元カノアレルギー”も治癒する、善人たちの青春映画

　ティーンのヒロインを主人公に、同級生や先輩への憧れ、恋のときめきを描いた「キラキラ青春映画」。そんなの、とうの昔に高校を卒業しちゃった私たちにはもう関係ねえと思ってやいませんか？　そんなことはなーい！　アラサーもアラフォーもアラ還暦も、まだまだ青春真っただ中！　10代の若者たちに負けずにキラキラ青春映画を楽しんで、あわよくば失った何かを取り戻そうじゃありませんかってことで、バツ3子持ち、恋愛の酸いも甘いも苦いも経験しまくってきたアウトすぎる映画ライター森田真帆（@mahomorita）が、オトナのためのキラキラ青春映画の魅力・見どころをお伝えします！

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Vol.1『ハニーレモンソーダ』（2021）

監督：神徳幸治／脚本：吉川菜美
出演：ラウール（SnowMan）、吉川愛ほか

【勝手にあらすじ】
高校1年生の石森羽花（吉川愛）は、中学時代に“石”と呼ばれていじめを受けていた自分を変えたくて、オシャレで自由な校風の八美津（はちみつ）高校に進学！　クラスメイトの三浦界（SnowMan・ラウール）は、とびきり目立つ金髪に「ウゼェ」が口癖のクールな超絶人気者。なにかと羽花を気にかけてくれる界のおかげで自分の殻を破り、キラキラな友人たちと高校生活を謳歌する羽花だけど、界への一途な恋心はいったいどうなった!? まるで人気炭酸飲料「キリンレモン」（特別協賛・キリンビバレッジ）のように爽やかで胸キュン＆じれったい青春へとあなたを引き戻す、キラキラ青春映画の大傑作！

※これより下に一部ネタバレを含みます※

どいつもこいつもめちゃくちゃイイやつ！
平和すぎる世界線で繰り広げられる、怒涛の胸キュンストーリー

　いきなりですが、クソメンヘラ野郎の私がこの世の中でもっとも忌み嫌う存在があります。それは＜元カノ＞！　愛する彼氏がある日あのときゾッコンで、愛をささやき、ときにイチャイチャしていた女性がこの世の中に存在しているというだけでマジで悪寒、鳥肌、発熱、ゲボ吐くくらい大嫌い。もしも彼氏が「花束みたいな恋をしたことがあるんだよ」なんていうもんなら、大発狂するのが私です。

　えてして、私がこれまで観てきた恋愛映画でも元カノというのはだいたい嫌なやつで、ヒロインに意地悪をしたり、元サヤに戻ろうとあの手この手を使ってみたり、ヒロインを階段から突き落としたりする怖い女がほとんど。2007年に大ヒットした映画『恋空』なんて、悪い男たちに襲わせるようなトンデモない元カノが登場しましたね。

　でも！　本作で、現役モデルとしても活躍中の美少女・堀田真由が演じる元カノの芹奈は天使みたいにイイ子で、まだ界への未練があるにもかかわらず、ヒロインを笑顔で応援し、ついには涙ちょちょぎれるイイ女っぷりで自分の気持ちに踏ん切りをつけます。いやあ、けなげな子！　おばさん、こいつは絶対に裏があるって思いながら観ていたけれど、最後までめちゃくちゃイイやつでビックリしちゃったわ。

　この映画、こんな調子で悪いやつがほとんど出てこない。中学時代のいじめっ子は秒で退治され、その後は友達も元カノもとてつもなくイイ奴ばかりの平和な世界！　ヒロインが、いじめられてレイプされて妊娠して流産するという不幸の連続だった『恋空』とは大違い。ちなみに、『ハニーレモンソーダ』は少女漫画誌「りぼん」（集英社）で連載中のティーンに絶大な人気を誇る同名漫画が原作なのですが、まさに現代のネオキラキラ映画と言えるでしょう。（【1／2】　2ページ目はこちら）