韓国で“ノーマスク不安症”多発 やっと着用義務解除も…ルッキズム根深い固有の事情
#韓国 #マスク
条件付きながら、野外でのマスク着用義務が解除された韓国。566日ぶりにマスクからの解放となり、世の中は歓喜に沸くかと思いきや状況は複雑な様子だ。街ゆく人々やネットユーザーからは「いきなり外すのは難しい」という意見が多く飛び交っている。
マスクを外せない理由は複数あるが、意見として多いのはやはり「周囲の目」だ。まだ街ゆく人たちの着用率が圧倒的に高いなかで、自分だけマスクを外して出歩くのは精神的なプレッシャーが大きいという。30代男性・R氏は次のように話す。
「コロナ禍の間、韓国ではノーマスクで出歩く人に対して誹謗中傷や批判が殺到したし、ネットでさらされることも多かった。口論などトラブルも多かったので、着用義務がなくなったとはいえ急には外しづらい雰囲気がある。皆どのくらいの人々が外しているか、他人の行動を伺っている感じだ」
そもそもコロナに対してはまだ、不安があるという層も多い。
4月末に韓国の就職情報サイト「インクルト」が、成人男女1217人を対象に行った関連アンケートによると、「屋外マスク着用義務が解除されても新型コロナウイルス感染症に対して自ら安全を感じるまでマスクを着用する」とする回答が51.8%にのぼった。また一方で、「コロナ禍が終息してもマスクを着用し続ける」とする回答も26.3%あまりあった。マスク着用が比較的習慣化している日本とは異なり、コロナ禍をきっかけにマスク着用のメリットが認識された韓国では「コロナ以外の病気にもかからず健康を維持できた」という意見が意外に多い。今後、種々の病気からの予防のために着用したいという一定層が定着したようだ。
一方で、ネット空間ではまったく他の理由から“ノーマスク不安症”を訴える人々がいる。
マスクを着用することで「顔がかわいく見えていた」と自ら自覚する、いわゆる「マスク詐欺層」だ。NAVERなどの掲示板には、「マスクをしている間、以前よりかわいいと言われることが増えたが、解禁となると鼻より下の部分のケアや美白が心配になる」「マスクは最大の整形だったかもしれない……」など、顔をさらけだすことに切実な不安を吐露する意見が書き込まれている。ルッキズムが根深い韓国では、脱マスクは一部の層にとって心の負担になっているようだ。
興味深いのは、このところ“脱マスク”を意識して、皮膚やあごのラインのケア、歯の矯正などを目的にクリニックや病院に訪れる人が増加しているという話題だ。マスク詐欺認定を回避するための経済的・時間的負担も発生していることになりそうだ。
なお韓国ではマスクの着用でルックス評価があがる「マスク詐欺」の対義語として、評価が下がった「マスク被害者」という言葉もある。最近では、AIを使って「マスク詐欺力」を判定するアプリも登場しているそうだ。その正確性は不明瞭だが、多くの人々がマスク効果による自身の評価に強い興味を持っている証左にはなろう。
今後、日本ではノーマスクとどう付き合っていくのか。隣国の事情は、意外な盲点や不安症の存在を教えてくれる良い“教材”となりそうだ。
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