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小栗旬の「答えなんかない」、テレビは「答えがほしい」 400日間の対話と攻防

小栗旬の「答えなんかない」、テレビは「答えがほしい」 400日間の対話と攻防の画像1
『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)公式サイトより

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(5月1~7日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

渋谷凪咲「ワザと知ってんのにボケたりすると、見る人が見ると絶対バレる」

 ナチュラルメイクは矛盾している。本当の意味でナチュラルであろうとするなら、何もメイクしないのが正解だ。すっぴんこそが本当のナチュラルメイクだ――。と、そんな論難もあるわけだけれど、できるだけナチュラルでありたいと思うこともあるのが人の業というもの。そんなナチュラルさを演出することをめぐる矛盾にいま、最適解を出しているのは彼女かもしれない。

 4日の『あちこちオードリー』(テレビ東京系)に、渋谷凪咲がゲストとして出演していた。

 大阪のアイドルグループ・NMB48に所属する渋谷は、関西を中心に活動してきた。しかし、この1~2年で全国区のバラエティ番組でも活躍している。きっかけのひとつは、『アメトーーク!』(テレビ朝日系、2020年7月2日)で麒麟の川島明が彼女の名前をあげ、その“大喜利力”を称賛したことにあったようだ。

「今までかわいらしい天然の子は多かったですけど、しっかり大喜利が強い。ビビるぐらい」

 そんな渋谷は、最初は自分が大喜利が得意なことに気づかなかったという。なぜなら、お題に対して真剣に考えて答えを出していたから。たとえば、クイズで芸人のようなボケ回答を求められることもある渋谷だが、そういうときもワザとボケるといったことはしないようにしていると語る。

「ワザと知ってんのにボケたりすると、見る人が見ると絶対バレるし、一番面白くないから、知ってるやつはちゃんと答えて、ホントに知らなかったら自分なりの考えで導き出すっていうのをモットーにやってます」

 答えがわからない問題も、自分なりの考えで答えを導き出す。それが結果として大喜利になっていた、と彼女は説明する。

「もともとめっちゃアホなんで、クイズがホンマわからなくて。でも、絶対に答えを書かないといけないじゃないですか。だから自分なりに導き出した答えでいつも答えてたら、それがいつのまにか大喜利になってたみたいで」

 また、全国ネットの番組などに出演する際、「かかりすぎる」と力が発揮できなくなると語る彼女は、できるだけナチュラルでいることを心がけているという。

「ナチュラルにいつもの自分でいるっていうのを心がけて、それを保つのに必死です。(中略)面白く思われたいとかよくなりたいっていう欲があるから背伸びしようってするから、『自分はこんなもんです』って思って、『こんなもんですけど』ってやる」

 しかし他方で、テレビを通して見る限り、彼女は意識的に面白いことを言おうと思っていると感じるときもある。今回も若林が渋谷のトークに「間(ま)が笑かす間じゃん。ズルいよ」と指摘して笑う場面があったが、間とか表情とか発言内容とか、笑わす意志をもって笑わしている面もあるのは確かだろう。ナチュラルでいようという心がけの徹底。笑わせる意志を見る側に感じさせない意志の貫徹。あの笑顔は、こちらのガードを下げて笑わせる笑顔だ。

 自分のキャラクターを作りすぎず、作らなさすぎず。“天然”と“作為”のあいだ。手を叩いて笑うみたいなこともあまりない彼女は、わかりやすい芸人のふるまいをなぞっているわけでもない。しばしば手に口をあてながら笑う彼女は確かにアイドル的でもある。芸人なりアイドルなりテレビ上の特定のカテゴリに自身のふるまいを寄せるのではなく、さまざまな文脈の交差点にそのままいるように見える彼女は、確かに“ナチュラル”なのかもしれない。

 そうじゃないと、「ナチュラルにいつもの自分でいるっていうのを心がけて」なんて、テレビでまっすぐな目で堂々と言えない。

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