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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 『空気階段の料理天国』、まじで何も起きない
白熱する視聴者の考察

『空気階段の料理天国』何か起きそうで、まじで何も起きない…テレ東・上出Pの“真っ白”な料理番組

テレ東・上出プロデューサー「害のない、優しい番組です」

 これを「狐につままれた」と言うのだろうか? 「何かあるのだろう」とざわざわしながら最後まで見ていたが、結局、最後まで番組の正しい見方がわからなかった。ドッキリのニセ番組をそのまま見ている感覚というか、単独ライブDVDのおまけ映像みたいな番組というか。我々は一体、この番組に何を期待していたのか?

『空気階段の料理天国』を制作したのは、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』でおなじみ、テレビ東京の上出遼平プロデューサーである。構成に参加したのは、『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』『島崎和歌子の悩みにカンパイ』(ともにテレビ東京系)、『ここにタイトルを入力』(フジテレビ系)でおなじみ、放送作家の竹村武司だ。放送前日、両者はTwitterで発信した。

「『食べたらきっと天国に連れて行ってくれる料理』の作り方を紹介する正統派料理番組が明日放送です。テレビ東京への並々ならぬ感謝を込めて原案で参加しました。害のない、優しい番組です」(上出)

「上出さんが害のない番組を作るというので、私も微力ながらお手伝いしました。こんなに優しい気持ちになるなんて」(竹村)

 キャスティングも、真っ白なセットも、番組の意図も、スタッフのコメントに漂う空気感も、すべてが謎だ。2人が言うように害はなかったが、確実に心に刺さる棘はあった。「害のない」という狂気に触れたというか。

 やはり、いろいろ勘ぐってしまう。「締め付けが厳しいテレ東上層部への当てこすりに、上出Pが意趣返しとしてこの番組を作った?」とか。4月27日放送『水曜日のダウンタウン』(TBS系)のコンプラ規制どっきりは、記憶に新しい。あれと少し被ったのだ。変なコメントを吐いても、料理が簡単でも、すべてを全肯定し、逆にそこが無機質で不気味だったこの番組。コンプラを何ひとつ破っていないのに、綺麗過ぎて異常だった。将来、こんな番組ばかりになるとしたら恐怖……という警告だったか? こんなにも料理以外の事柄が気になる料理番組は、これが初めてである。

『ここにタイトルを入力』をはじめ、「裏で何かが起きている」システムをメタ的に見せる番組が多い昨今。だから、今回も「裏で何かが起きているのだろう」と視聴者は勘ぐった。でも、番組内では何も起きていないし、種明かしもされていない。「何か起こりそうだけど、何も起きない」という裏切りだった。最終的には、視聴者が「あれはなんだったんだ?」と疑心暗鬼になり、考察するというフェーズに入り、番組は完成したというオチ。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2022/05/07 19:00
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