『空気階段の料理天国』何か起きそうで、まじで何も起きない…テレ東・上出Pの“真っ白”な料理番組
#テレビ東京 #空気階段 #空気階段の料理天国
画面が極限まで真っ白になり、料理がよく見えなくなる
番組の構成もおかしかった。『空気階段の料理天国』は60分番組だが、開始10分で料理人の調理は終了。空気階段の試食が終わり、「さようなら~!」と番組はつつがなく終了した……と思いきや、その3分後にまた番組が始まるという謎ループ。「毎週、料理番組やってますけど?」みたいなテンションでヌルッと番組が始まり、これが3度繰り返された。つまり、15分番組×4セットという構成である。初放送なのに、再放送を並べた感じの作りだったのだ。
「もともとはBSテレ東でやってる15分番組の総集編か?」とも思ったが、そういうわけじゃないらしい。しかも、各回が終わるごとに右下に表示される「次回は4月29日(金)12時16分頃から」というテロップがふざけている。
4本分放送されたということは、紹介された料理は4品である。野菜たっぷりピザ→チキンパルメザンパスタ→よくばりステーキ→バニラアイスクリーム、という順番であった。
これも、いろいろ引っかかる。「野菜たっぷりピザ」は、ドライイーストを使って生地から作る自家製ピザだった。「チキンパルメザンパスタ」は、パスタの上にチキンタツタをのっけるという謎のレシピだった。手の凝った料理を続けておいて、3品目はいきなり塩胡椒した牛肉を焼いただけのステーキだったのだ。これの何が「よくばり」だというのか? 最後の「バニラアイスクリーム」にいたっては、2~3分でできあがってしまった。ピザ→パスタ→ステーキ→アイスと、回を重ねる毎に料理のレベルが急激に簡単になっていくのはどうして? 改めて見ると、4品の流れがコース料理のようになっているし。
特に出色は、「バニラアイスクリーム」の回だった。バニラである。できあがりが白いのだ。セットと料理が同化し、画面が極限まで真っ白になるという事態へ発展。背景と相まって、バニラアイスクリームの居場所がほぼわからなかった。真っ白のセットの中、真っ白の衣装を着て、真っ白のバニラアイスを食べる空気階段。なんなんだ、これは。白過ぎて、ガチで天国へ行った感覚になる。まさに、天国のコース料理か。
そういえば、この番組のオープニングVTRは階段を駆け上がり天に昇っていくような映像だった。天国に昇天する番組ということ? 縁起でもない。
「いつ、コントが始まる?」と身構えていたが、何もない
違和感の最大の要因は、2人が何かしらのキャラを入れてるような感じでいたことだ。かたまりは顔にドーランを塗りまくっているし、もぐらはリアクションやコメントがいつもより微妙に大きい。ちょっとユーモアのあるいぶし銀俳優みたいなムーブを続けているのだ。もぐらを爽やかな常識人のポジに置いている時点で、設定はめちゃくちゃ。そして、隣には覇気のない吉沢亮がいる。“食べたいかたまり”と“語りたいもぐら”というキャラ付けも、セオリー通りじゃない。
この空気感では、視聴者もさすがに期待してしまう。「今はコントの前フリで、ここから何かが始まるんだろう?」的な。「いつボケるのか?」と、我々は身構えたのだ。例えば、「白いセットと白い服が最終的には血に染まる?」とか。でも、もぐらとかたまりはロートーンで見て、しゃべって、食べただけだった。コント的な展開を予想していたら、料理が淡々と作られていくだけという肩透かし。両者ともコントのときの目つきをしていただけに、余計に残尿感が残った。ただの料理番組だとしたら、料理のイメージがない2人に進行を任せるのも不自然である。
コントをしないのならば……と、さらにこちらは深読みをする。気になったのは、調理中のステーキを見ている際のもぐらの表情だ。不自然に顔をゆがめる瞬間が何度もあった。チキンやステーキがお肉になるまで、つまり生前の動物の頃(牛や鶏の頃)を知っていたから心が痛いのか? ……とも思ったが、番組内でそんな種明かしはなかったし、こっちの穿ち過ぎなのだろう。
だとすれば、もう番組名から探りを入れていくしかない。「料理天国」の「天国」とは、どういう天国なのか? 深読みするとすれば、以下のようなものが思い浮かぶ。
・この番組は天国に行った空気階段の晩餐で、2人が外界のキッチンスタジオを見下ろしているという設定。
・息絶えた空気階段が白い部屋に留まり、調理過程を見て発するコメント内容で料理人を満足させれば天国、ダメなら料理の具材にされる、という設定。
・料理人の調理映像はリアルタイムで、空気階段のコメントだけは先撮りしたVTRだったという仕掛け。
・料理は手伝わず、食事しかしないから、いいとこ取りしている2人はまさに“料理天国”ということ。
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