朝倉未来がマンガの主人公に見えてくる!街の「喧嘩自慢」を悪役に仕立てる技術
#深田憲作 #企画倉庫 #アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~
放送作家の深田憲作です。
「企画倉庫」というウェブサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。
今回のテーマは「朝倉未来の喧嘩自慢とスパーリングしてみた」です。男性読者の多くの方がお分かりかと思いますが、格闘家・朝倉未来選手のYouTubeチャンネルで人気シリーズとなっている企画です。
シリーズ1回目の動画の正式タイトルは「街の喧嘩自慢にプロ格闘家がスパーリングを申し込んだらやるのかやらないのか【前編】」です。
タイトルの通り、朝倉未来選手が街にいる悪そうな男たちに声をかけて「スパーリングやりませんか?」を誘い、ジムで実際にスパーリングを行うという実にシンプルで分かりやすい内容。
では一体、この企画のどこが面白いのか? 大きなポイントとしては、スパーリングを申し込む相手が「いかにも悪そうな喧嘩自慢である」ところだと思います。これは女性にはあまり理解できないと思いますが、男の本能に「悪そうな奴の喧嘩に興奮してしまう」という性質があります。これはこのコラムでたびたび書いている、狩猟採集時代に縄張り争いをしていた頃の名残なのかもしれません。
冷静に考えると、格闘家として日本のトップレベルにいる朝倉未来選手が、アマチュアの喧嘩自慢に負けるワケなどないのです。他の競技で想像してみると例えば、大谷翔平選手が街の草野球選手に声をかけて「僕と対戦してみますか?」という企画をやっても「そんなの打てるワケないじゃん」と少し冷めた目で見てしまうはずです。
頭では朝倉未来選手に街の不良が勝てるワケないと分かっていても、なぜか見た目が悪そうというだけで戦いにワクワク感や期待感を持ってしまう。これは格闘技ならではの感覚でしょう。他の競技で同様の企画をやってもここまでのハネ方はしないはずです。
「悪そうな奴の喧嘩に興奮してしまう」と書きましたが、ヒットした少年マンガの中にもこの性質に訴えてくる作品はいくつもあります。その代表格が「ドラゴンボール」でしょう。孫悟空の前に現れる敵は当然ながら悪者。これは現実世界に置き換えると「喧嘩自慢の不良たち」です。私は小中学時代にリアルタイムで読んでいましたから、次から次に出てくる「喧嘩自慢の敵」にとてつもない興奮を覚えていました。
中でもゾクゾク感が高かったのは、ベジータが出てきた時。ピッコロを倒し、地球上に敵はいないと思われた悟空のもとに現れた最強の敵です。このベジータの「喧嘩自慢不良感」たるや、世の男子をゾクゾクさせる要素をふんだんに持ち合わせていました。
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