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『関ジャム』Mr.Children特集!30周年に復活した小林武史とのタッグは是か非か?

桜井が歌うためにメンバーが演奏し、捧げるバンド

 小出が“ギタリストとしての基礎を作った楽曲”として挙げたのは、『DISCOVERY』収録の「アンダーシャツ」だ。リリースから数年経ち、地上波で今さらこの曲が流れるというのも驚きである。

「自分のギター演奏における持ち味はカッティングで、初めてそれを演奏したのが『アンダーシャツ』の田原さんパートでした。その後、ディスコやファンクを好きになって有名カッティングリフをコピーするようになるが、『アンダーシャツ』をむちゃくちゃ練習していたので、あまり苦労せず身についたと思う」(小出)

 基本、田原健一はバッキングに徹するギタリストだが、この人のカッティングは確かにうまい。続いてKan Sanoが指摘したのは、Dr.鈴木英哉のドラムフィル(曲中の変わり目などに即興的なフレーズを入れ、変化をつける)だった。例を挙げると、「Everything(it’s you)」のサビ前のフィル・インが印象的。

「JENさん(鈴木)は個性的というか、あまり他のバンドでは見かけないタイプ。すぐにサビに入るのではなく、引っ張って引っ張ってサビに入る」(Sano)

 決して、スゴいプレイをしているわけではない。ただ、桜井が「ステーーイ!」と吠える直前のリンゴ・スターっぽいオカズは、何度耳にしても気持ちいい。あと、JENのプレイを聴くなら「Worlds end」の忙しいドラムも必聴だ。ドライブしているときにぴったりの曲である。

「(ミスチルが)怖いのは、バンドなのにバンドメンバーが『俺が、俺が!』っていかないんですよ。あれだけ優秀なメンバーが、曲に全部を捧げているんです」(水野)

 関ジャニ∞の丸山隆平は、ベーシスト視点でミスチルを分析した。

「Mr.Childrenのすべての音、誰(のプレイ)と主張していない点がスタイルとして表れているなと。だから、ベースだけ特化して聴くということをしてこなかった。でも、好きな曲はあるんです。ベースラインがめちゃくちゃカッコいい曲とか。『友とコーヒーと嘘と胃袋』なんか、(ベースの)切り方がめちゃくちゃクールなんですよ」(丸山)

「友とコーヒーと嘘と胃袋」という曲名をスラスラ口にできる辺り、ミスチルが相当好きと見える。この曲タイトルを地上波で耳にしたのは、間違いなく今回が初めてだ。というか、ミスチルのベースラインが取り上げられるなんてテレビ史上初なのでは?

 水野の言う通りである。ミスチルは、桜井和寿というボーカルが歌うために他のメンバーが演奏し、自らを捧げるバンドだ。「桜井の声こそ、ミスチルにとって最高の楽器」という意志が全メンバーに貫かれている。「ボーカルと楽器隊が対等なバンドは日本に少ない」と言えばそれまでだが、だからこそミスチルは30周年を迎えられたという気もする。

病から復帰して間もない桜井が声を張り上げた「HERO」

 ミスチルの曲構成について言及したのは、Kan Sanoだった。

「(曲で)1番大事なのはサビで、特にラスサビは曲の余韻や印象が残るものなので、そこをどう聴かせるかが重要。ミスチルはラスサビの前に2拍ぐらい足して、入るタイミングを遅らせて焦らす」(Sano)

 Sanoが例に挙げたのは「HERO」だったが、それ以外の曲もある。「innocent world」「Tomorrow never knows」「終わりなき旅」など、ラスサビ前の2拍足しはミスチルの定石だ。正直、このあたりはミスチルの仕事というより“小林武史節”という気もする。My Little Loverにもこの曲展開は多いし、編曲家の仕事だと思うのだ。『関ジャム』にはいつか、“小林武史特集”をやってもらいたいと願っている。

「HERO」には、“2拍足し”以外にも注目してもらいたいポイントがある。それは、桜井の歌唱。Aメロ、Bメロ後のサビではファルセットで歌っていた桜井が、ラスサビだけは裏声を使わず地声を張り上げて歌っているのだ。「HERO」レコーディング時、桜井は小脳梗塞から復帰して間もなかった。体調を考慮しファルセットで歌うべきところを、あえて張り上げた声で歌った……という話も聞く。

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