フースーヤ、舞い戻る――夢から覚めて、地道に積み重ねた“普通”の5年
#フースーヤ
5年前に思い描いていた景色ではないけれど、これが“普通”
――フースーヤさんが注目されたきっかけが、テレビ番組『新しい波24』(フジ/17年4~9月放送)でした。放送からもう5年も経つんですね。
谷口 早いです。出ていた中で、解散も何組かしてますしね。
田中 アメリカンコミックスさんは解散早かったな~。
谷口 昨日、はなしょーさんも解散発表して驚きました。
――あの頃、思い描いていた5年後と今は違いますか?
田中 正直……これ、おまえの考えと違うかもわからんで。
谷口 おまえの考えでええよ。たぶん一緒ちゃうかな。
田中 もっと売れてる予定でしたね!
谷口 そうですね。ナインティナインさん、キングコングさんと来て、次はフースーヤだ! と思ってました。
田中 ドラマにバンバン出て……。
谷口 曲出して……。
田中 服のブランド作って、嫁さんもろて、家建てて。
谷口 まさか関西で泥臭く賞レース頑張ってるとは思わんかったな。
田中 それだけえぐい追い風吹いてたんですよ。「うわ~、このままスターダムに~!」ぐらいの。そうしたら途中で風が弱くなって……。
谷口 だから思い描いていた景色とは、ちょっとちゃいます。でも、今の感じでいいよね?
田中 うん。これが普通だと思うんです。あの時は「僕らが? ありえん」と思っていたし、実力もなかったし、ちょっとしたバブルでしたね。その夢から覚めたというか、今みたいに少しづつ上がって行くのが定石じゃないですか。それに芸人始めて6年経って、頑張れているほうかなとは思っちゃいますね。もっと泥水すすってもおかしくなかったので。
――2年目以降、しんどかったわけではない?
谷口 ですね。あ~、でも『AI-TV』(フジ/17年10月~18年3月)が終わるあたりはしんどかったかもしれません。テレビ出ても実力不足を痛感して、次の手次の手を考えないといけないプレッシャーもあって。その頃、霜降り明星さんと我々でご飯に行ったんですよ。そうしたら相方が成田凌さんのマネしていきなり髪赤く染めてきて、もうあかんと。
田中 粗品さんの実家の焼肉屋で、谷口が号泣してました。あれは谷口が一番苦しんだ時期ですね。当時、僕はフィーバータイムからの何もない時期が続いて、ラブラブの彼女に急にフラれたみたいな感じでした。でも待て。これが普通なんやと。地道に積み重ねないとあかんねや。いかついスタートダッシュ切った俺らなら必ずいける……と考えて、今に至ります。
谷口 なんでいちいちカッコつけんねん? ただテレビの仕事は減っても、舞台はあったし、営業も増えて、お笑いスタミナはつきましたね。登場して誰も笑わないところを、「笑ってくれ!」という根性ひとつで乗り切れるようになったので。
勢いで上京せずに大阪でコツコツ頑張ってきたから今がある
――1年目の勢いで上京というパターンもあったと思うんですけど、大阪にいてよかったですか。
田中 よかったです。それは間違いないんじゃないですか。
谷口 大阪は実力ないと認めてくれないし、賞レースで結果出さないとダメという雰囲気があるんですよね。それで僕らも単独ライブをずっとやってきましたから。もし東京行ってチラチラ仕事もらってたら、そこまで頑張っていたかわかりませんね。
田中 それこそ当時のマネージャーさんに「東京行こうと思ってんの?」と聞かれたことがあったんですよ。「はい。行きたいなーと思ってますねえ」と答えたら、「大阪で何も結果残してへんヤツが東京行って何できんねん!!!」と怒られて、クーッ! と体固まって、ぐうの音も出ませんでした。確かに今東京出ても何もできないと腑に落ちて、そこから大阪でコツコツ頑張っていこうと切り替わったんです。
谷口 ありがたかったですね。でもラジオの本番前、廊下で怒鳴られたので、その後めちゃくちゃしゃべりにくかったです。何もできないヤツらがマイクの前に座って、何を話せばいいんだと。
――最近、大阪の劇場はどうですか。配信を見てると、ロングコートダディ・堂前さん、ニッポンの社長・辻さんが先頭に立って、まとまっている印象があります。
谷口 そうですね。ニッポンの社長さん、ロングコートダディさん、マユリカさんは、芸人からも面白いと思われて、賞レースで結果出して、チケットも売れてますから。
田中 人気、実力は抜けてますね。
谷口 後輩も全員尊敬してます。マユリカの中谷さんは怪しいですけど。
田中 ほんまにそこはモヤモヤしてます。
――マユリカの阪本さんは?
田中 実力者です。みんなから愛されてます。
谷口 中谷さんだけわからないんですよね!
――5月には東京でいよいよ初単独が行われます。フースーヤさんの単独って、何やるか想像がつかないんですよ。
谷口 ちゃんとした単独をやりますよ! ネタは漫才4本にコント1本の合計5本。あと僕らと作家さんで考えたコーナーをやります。
――ネタのエネルギー量がすごいじゃないですか。5本もやって体力はもつんですか。
谷口 やばいですね。昔はギャグ漫才2本で、それ以外の漫才もやってたんですよ。それをちょっと前からギャグ漫才を3本にしたら、二人とも体力なくて……。
谷口 作家さんが舞台袖でバスタオルを用意するようになりました。
田中 ネタ終わったら、テニス終わりみたいに汗を拭くんです。ペットボトル4本なくなります。
谷口 あと僕らの単独って、お客さん全員が会場出た後、何やったか一個も思い出せないそうです。意味なさすぎて。
――ある意味、一番カッコいいですね。
田中 でもほんまは何するかわかりませんから。60分全裸漫才やって、配信全カットになるかもしれないので。劇場に来て確かめてください!
■プロフィール
フースーヤ
田中ショータイムと谷口理(共に1993年生まれ、兵庫県出身)のコンビ。高校の同級生で2016年結成。大阪を拠点に活動中。2021年『M-1グランプリ』予選をきっかけに、いま再び注目を集めている。
〈YouTube〉
https://www.youtube.com/channel/UC1tfnUVyVcByD7fbcIR8dTw
〈TikTok〉
https://www.tiktok.com/@fuusuuya
■出演情報
単独ライブ「ファンタスティックさしみ醤油 ~思い出のネタと新ネタ~」
会場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
日程:2022年5月7日 開場15:30/開演16:00
会場チケット完売/配信チケット発売中
http://www.syumatsu.jp/pc/2022/05/20220507-fusuya.php
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