フースーヤ、舞い戻る――夢から覚めて、地道に積み重ねた“普通”の5年
#フースーヤ
2016年年末、芸歴1年目にしてフジテレビの若手発掘番組『新しい波24』で華々しく世に登場したフースーヤ。「オーマイゴッドファーザー降臨!」「よいしょー!」のギャグでブレイクするも、当時はあまりに若く、勢いは長続きしなかった。世間から「消えた」と言われながらも大阪の劇場で経験を積んできた2人が、昨年の『M-1グランプリ』予選をきっかけに今再び注目を集めている。ギャグという武器をより磨き上げ、フースーヤが再び大舞台に帰ってくる日は近い――。
「悔しさもすべてひっくるめて、目の前の舞台を全力でやるだけ」
――『ytv漫才新人賞』(以下『ytv』/3月20日開催)、おつかれさまでした。惜しくも3位でしたが、振り返っていかがでしたか?
田中 ytvの結果……。僕はもう興味ないですね!
――切り替え早いですね。
田中 全く振り返ってません。全力尽くして3位だった。それだけの事実。もう過去のことです。悔しさもすべてひっくるめて、目の前の舞台を全力でやるだけ。それが僕らの仕事じゃないですか?
谷口 だいぶカッコつけてるな! 僕ももう先見てますけど、あのときは1点差で、「なんでやねん!」でした。ROUND1も1点差で負けましたし、去年の『M-1』もウケたのに落ちたので、「またか~」と。めちゃくちゃ悔しかったです。
――ネタだけでなく、スキあれば「チャーハン、チャーハン」のギャグを入れようとする平場も面白かったです。
谷口 そのせいでリンゴさん(ハイヒール)のコメントがカットになりましたけど。
田中 その後リンゴさんに会ったら、めちゃくちゃいじられました。「あんたらのせいで私のコメントなくなったんやでー!」。おそらく僕らのことをだいぶ気に入ってくれてるんでしょうね~。
谷口 あんま自分で言わへん。
――審査員といえば、オール巨人さんがコロナ感染で出られませんでしたね。最近出版された『漫才論』(ワニブックス)に「賞レースは練習量も評価する」と書いてあって、巨人さんが審査してたら結果が変わっていたのかも、と思いました。
谷口 まあ、僕らは漫才の練習なんてしてないですけど。
田中 はい。全部即興です。
谷口 ただYouTubeのコメントに「フースーヤの漫才は、壁に向かって練習してる姿を想像すると一番面白い」とあって、それはその通りだなと思いました。賞レースで練習風景を撮影してくるカメラマンさんも、やっぱりニタニタしてますからねえ。
田中 でも確かに、巨人師匠だったら結果変わってたかもしれないです。よく「面白くなってるな~」と言ってくれるんですよ。目の前の面白さだけでなく、過去からどれだけ成長しているかを見てくれる気がするので。
――『ytv』の後、仕事増えました?
谷口 仕事は去年の『M-1』の後からチラチラ増えたんですよ。『ytv』は先輩や吉本の社員さんから「本当にオモロかった」という声をめっちゃいただきました。
田中 『M-1』で「面白いヤツ」という認識がついて、『ytv』で若干「実力者」みたいな見方になったような。「フースーヤって賞レースの決勝残れるんや。意外とちゃんとしてるな」って。
――実際、手の届くところまで来た感覚あります?
谷口 ありますね。これまで賞レースは全然やったのが、指の第一関節まで引っかかってきたかなと。もうひと踏ん張りですね!
「おもろくて顔もいい」憧れの先輩のギャグをついやってしまう
――今年『M-1』で結果を出すだろうと期待が高まる中、怪奇!YesどんぐりRPGさんの存在は気になりません? ギャグ漫才枠として、フースーヤさんと2組のうち、どちらかが決勝進んだらどちらかは進めないような気がするんですよ。
谷口 ネタに関して意識することはないですねえ。『M-1』はオモロかったら決勝いくでしょうし、むしろ2組で進んで『M-1』を大荒らししたいです。
田中 ライバルというより、ギャグ漫才一緒に盛り上げているという仲間意識のほうがありますね。僕らだけだったら「こいつら何してんねん?」感あるのが、怪奇!さんがいることによって、もっと受け入れられやすくなるかなと。なんて言えばいいんでしょうね? 漫才。漫才…。漫才……。
谷口 特に何も浮かばなかったみたいです!
――憧れているギャガーはいます?
谷口 僕はFUJIWARAの原西さんですね。小学校の頃から動画やテレビで見てきて、最近仕事でご一緒できるとめちゃくちゃ嬉しいです。
田中 僕はオジンオズボーンの篠宮さん。めちゃくちゃ面白いです。NGKに出た時、袖で見てたら会場が見たことないぐらいウケてました。
――声もいいですよね。
田中 そう。あと顔もいいんですよ! シュッとされているのに、変顔つくるじゃないですか。僕も顔がシュッとしているので、進むべき道の先にいる方やなと。あと恥ずかしい話、篠宮さんのギャグであることを隠して、コンパでもギャグやらしてもらってます。
谷口 どんなギャグなのそれは。
田中 「PPAP」をもじったギャグで……。ここではちょっと。すいません!
谷口 どういうことやねん? 下ネタってこと?
田中 篠宮さんにバレるのが恥ずかしいんで。検索したら出てきますから、それ見てください。
――それを確認して、「田中さんはこのギャグをパクってる」と思えばいいんですか?
田中 そういうことです!
谷口 いやいや、「そういえば田中、コンパでこのギャグやってたな」と思う女の子が5人ぐらいおるだけやから。
「お好きなタイミングで使ってください」流行りそうなギャグ伝授
――YouTubeで、田中さんが昔ギャグを使ってナンパしていたと語っていましたね。日常生活でもギャグを使ってるんだな、と感心しました。
田中 生き様がこの芸風になったということです。
――谷口さんも女性の気を引く手段としてギャグを使うんですか?
谷口 僕はショータイムと違ってコンパに行かなくて、女性と1対1で会うタイプなんです。そこでは昔、エピソードトーク10個ぐらい用意して話してました。
田中 全然ギャガーちゃうやん! 『すべらない話』に憧れてるヤツやん。
――「ギャガーの中では話がうまい」と言われているという噂も聞きましたよ。
谷口 そうなんです! こないだライブでトークがウケて、ニッポンの社長の辻さんに「ギャガーで一番エピソードトークうまい」と言われました。
田中 「ギャガーはトークが下手」みたいな扱いになってる! そんなことないから。
谷口 あと僕、SPOONという音声配信アプリやってまして、そこではギャグめっちゃやってますね。
田中 どんなのやったっけ?
谷口 コメントに初見の方がいたら「初見、初見、野村しょーけーん」……。やりすぎてウケてもいないんです。コメントで草も生えてませんね。
――ギャグって一般人がマネすると流行るじゃないですか。その点、フースーヤさんのギャグは合わせ技多くて、ハードル高いような気がしたんです。
田中 全力でやらないと難しいでしょうね。でも、やりやすいのもありますよ。
谷口 一般の方でもやりやすいのは…………です。
田中 え? 聞こえん。
谷口 だから、…………というのはあります。
田中 んー! 声が小さー!
谷口 シーサー!
2人 イヤサササ!!
谷口 これは使いやすいです。
――その合わせ技、素人ができますかね?
谷口 合わせ技じゃなくて一人でやるギャグがいいですか? それなら、ショータイムがピンのギャグあるんで。
田中 これはめっちゃ使いやすいですよ。♪インディゴモンゴル、インディゴモンゴル、チョンマゲアンバサダ~。
――これはいつ使えばいいんですか?
谷口 みなさんのお好きなタイミングで。
田中 フリーギャグなので自由に使ってください。
谷口 このギャグはずっとやってるのに、ハネないっすね~。
田中 霜降り明星のせいやさんだけが「めっちゃオモロい」と言ってくれるんで、やり続けたら流行ると期待してるんですよ。10年後、伝説のギャグになると信じてます!
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