『不都合な理想の夫婦』他、今こそ観たい夫婦崩壊もの映画3選
#映画 #不都合な理想の夫婦
『ブルー・バレンタイン』:幸福と不幸の日々を並行して映す
結婚後5年目で破局に向かっていく夫婦の1日半と、結婚に至るまでの数週間という、異なる2つの時間軸を同時並行で描いていく作品だ。この特殊な構成のために、「破局までのカウントダウン」を始めるギスギスした夫婦の関係と、「出会った頃の幸せな日々」とのギャップが、残酷なまでに際立つようになっている。
お互いの仕事や、社会での立ち位置などによる、夫婦の考え方の「ズレ」もまた容赦なく描かれており、そこかしこに「落とし穴」がある克明に記されていることが恐ろしく、小さな不満や軋轢が積み重なっていく様は観ていて良い意味で辛く苦しい。意地悪なまでに計算し尽くされたラストシーンを観て、打ちのめされてしまう方も多いだろう。
『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』:最恐の夫婦崩壊もの映画
2人の子どもに恵まれ庭付きの一軒家に住んでいた夫婦が、妻のかつての夢だったパリ行きを目指したことから地獄の日々が始まるという、設定からして『不都合な理想の夫婦』との共通点が多い作品だ。「最恐の夫婦崩壊もの映画」と呼んで差し支えない内容であり、特にクライマックスは衝撃的。夫婦のある種の「真実」がそこにあり、だからこそ絶望的な気持ちにもなってしまう方もいるだろう。
主演はなんとレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットという『タイタニック』のカップルであり、あれだけ美しく儚い恋愛をしてした2人が、今度はドロドロの夫婦喧嘩をしまくるという、良い意味で意地悪なキャスティングとなっている。あまりに「毒」が強いので、カップルで観ることは全くおすすめできない。パートナーとは別々に、1人で鑑賞したほうがいいだろう。
『Swallow スワロウ』:異食症をモチーフとした戒めの物語
食べ物ではないものを飲み込むようになってしまう「異食症」をモチーフとした作品だ。画鋲や電池など命の危険のあるものまで口にする様は観ていて痛々しく、それだけなら理解も共感もできない人がほとんどだろうが、主人公が孤独な生活を積み重ね、さらに理想的な妻と夫の関係を無理をして「演じている」ということが丹念に描かれているため、彼女のことが自然と理解できるようになるはずだ。
中盤からは意外な方向へと話が転がっていき、ミステリー作品としての面白さも用意されている以上に、抑圧的な環境にいる女性に限らない、悩みを持つ全ての人に響く、見事な着地点が用意されていることにも感動があった。エンドロールで映し出される「場所」も非常に示唆に富むものだ。精神の病に対する配慮を学ぶだけでなく、パートナーとの関係や、はたまた結婚前の「戒め」の物語としても、おすすめの1本だ。
『不都合な理想の夫婦』
監督・脚本:ショーン・ダーキン
出演:ジュード・ロウ、キャリー・クーン
2019年|イギリス|英語|107分|カラー|ビスタ|5.1ch|原題:The Nest|字幕翻訳:高山舞子
提供:木下グループ 配給:キノシネマ
C) Nest Film Productions Limited/Spectrum Movie Canada Inc. 2019
Dean Rogers
2022年4月29日より kino cinéma横浜みなとみらい他にて全国順次公開
映倫区分:R15+
映倫番号:4915
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