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日刊サイゾー トップ  > 「イジリ」芸の本質

素人が決して手を出してはいけない「イジリ」芸の本質「信頼関係」では許されない

 いじられる側は、自分で選択することが出来ない。どんなに落ち込んでいる日でもどんなに嫌なことがあった日でも、相手の都合でいじられてしまうからだ。

 じゃあどうすればいいのか。元芸人目線のアドバイスを送ろう。それは「乗ってしまえばいいのだ」。

 いじる人というのは、貴方をいじることにより自分が面白い人間だと思われたくていじってくることがほとんど。しかし貴方がそのイジリに乗ってしまえば、面白いのは貴方ということになるのだ。ただ乗るだけではなく、貴方が出来るめいっぱいの明るさで乗ってやるのだ。

 例えば「おい豚が洋服着てるよ」と言ってきたら「誰が三元豚だよ! サムギョプサルにしないで」とでも言ってやればいい。そうすれば貴方は一躍ヒーロー間違いなしだ。何故なら今も昔も面白いやつというのは絶対、一目置かれる。今まではただのいじられキャラだったかもしれないが、これからはいじられキャラのセミプロになってしまうのだ。

 正直、めいっぱい乗るのは勇気がいるし、言い返すのは怖いと思う。しかし、いじられて笑いものにされて、家に帰って落ち込んだり泣いたりするよりだいぶマシだ。心が辛いくらいなら、恥ずかしいほうを取れ。そして今まで相手が手にしていた面白いやつという称号と、相手が今まで優位に立っていた地位を根こそぎ奪い取ってやれ! 一歩踏み出せれば必ず貴方の世界は変わる。恐れるな。

 ただし「イジリ」がすでに「イジメ」になってしまっている場合は、話が違うから注意しよう。

 今すぐその場所から離れよう。小学生、中学生、高校生の子供たち、今君たちには学校が世界のすべてに見えているだろうが、大人の僕から言われせたら、そこはとてもちっぽけな世界だ。学校以外にも世界はいっぱいある。だから今すぐ辞めて転校したり、別の道を見つけよう。「先生に相談した方が良い」という人がいるかもしれないが、そんな嫌な場所に居続ける理由なんて何もない。新しい場所で新しい自分で新しく生活すればいいんだ。いじられキャラなんて前の学校に置いてきてしまえばいい。

 学生ではなく会社に勤めている人、あなたもすぐに仕事を辞めよう。心が病んでしまったら取り返しがつかなくなる。転職してあたらしい居場所をみつけよう。貯金があるなら、心が落ち着くまで働かない時間があったっていいと思う。

 そんな何もしない時間に少し都心に足を延ばし、お笑いライブを見に行くのはどうだろう。ネタはもちろんだが、話に出ていたプロの「イジリ」とプロの「いじられ」が生で見られるのだ。

 辛かったら、嫌になったら、病みそうになったらお笑いを見ろ。ちょっとでも笑えたら幸せな気分になるはずだから。

 お笑いを辞めた今でも、笑いにはそれだけのパワーがあると信じている。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2022/04/26 18:00
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