『関ジャム』清塚信也が語る、音楽の「わかんないんだよ!」 それでも「人類は同じ音でつながっている」
#音楽 #関ジャム
4月17日に放送された『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)が行ったのは、題して「プロでもわからない音の不思議を紐解く」なる企画。意外にも、今回が『関ジャム』へのスタジオ出演は約2年半ぶりとなるピアニスト・清塚信也からの持ち込み企画だ。放送前日、清塚はこんなツイートを発信していた。
おかげさまで、たくさんの方にTVer配信ご覧頂いています?
配信は日曜夜まで‼️
マイリスト登録もお願いします!https://t.co/dhEZAbkSkU
— 関ジャム完全燃SHOW(テレビ朝日)@kanjam_tvasahi) April 22, 2022
「ある日考えました… 『テレビだからって何でもかんでも答えを出さなきゃいけないのはどうしてだろう?』 ということで、今回の関ジャムは、『謎や神秘はそのままでいいじゃないスペシャル』です。笑 誰も答えられない音楽の神秘を、一緒に考えてください」
ある日考えました…
「テレビだからって何でもかんでも答えを出さなきゃいけないのはどうしてだろう?」ということで、今回の #関ジャム は、
「謎や神秘はそのままでいいじゃないスペシャル」です。笑誰も答えられない音楽の神秘を、一緒に考えてください。#江崎文武#関ジャニ∞
— 清塚信也@ShinyaKiyozuka) April 16, 2022
清塚と共にゲスト出演したのは、今注目の若手ピアニストである江崎文武。4人組ソウルバンド・WONKのキーボーディストであり、東京藝術大学の同級生だった常田大希主宰のmillennium paradeでもキーボードを担当する、気鋭の音楽家だ。
「我々、理論を勉強しましたが、理論をいくら勉強しようが『わかんないんだよ!』っていうことを今日はやりたいんです」(清塚)
タイトルの通り、音楽家でも説明できない“不思議”を取り上げるらしい。ぶっちゃけ、最近の『関ジャム』はミュージシャン同士がヨイショし合う企画ばかりが続いていた。今回は、久しぶりに面白い気がする。
メジャーの中にマイナーコードを入れると、刺さる曲になる
最初のテーマは、「人はどうしてメジャー(明るい)とマイナー(暗い)を聴き分けられる?」であった。
そういうものと決めてかかっていたが、よくよく突きつけられるとなんでだろう? 考えたことさえない。そして、理論的にも解明されていないそうだ。「高い音だからメジャー」「低い音だからマイナー」と、音程で左右されるわけでもない。でも、私たちはちゃんと聴き分けられる。清塚がメジャーコードを弾けばメジャーとわかったし、マイナーコードを弾けばマイナーだと認識できた。ここで、関ジャニ∞の横山裕が質問した。
「マイナーがメジャーに聴こえる人はいないんですか?」(横山)
なるほど、確かに! すごくいい質問だ。少数派だとしても、逆で感じる人がいるかもしれない。横山の質問を受け、清塚は実践した。彼が弾いたのは、ベートーヴェンの「月光」だった。悲しげなマイナー曲だ。しかし、同じ「月光」を高速で弾いた途端、どんよりしたマイナーっぽさは一掃された。
不思議なのは、なんの不自由もなく皆が「メジャー」「マイナー」を認識し、話を進められている事実である。これは、人が後天的に学んだもの? それとも、人間にプログラミングされた本能的なもの? 全員に共有している感覚を、なぜ我々は持ち合わせているのかが不思議なのだ。
「お腹の中にいる赤ちゃんが音楽を聴くと、僕らがメジャーやマイナーに対して抱く感情がないという見解もあるみたいです」(江崎)
つまり、この感性は本能じゃないのだろうか? これは、音楽以外にもあてはまる不思議だ。赤色を見て「情熱的」と、青色を見ると「冷静」と感じる傾向が人間にはある。それは色を見て受けた印象なのか、それとも後天的に植え付けられた感覚なのか……。
続いて江崎が弾いたのは、ゴールデンボンバー「女々しくて」であった。マイナーコードだけれど、なぜか気持ちが昂ぶる曲だ。試しに清塚が「女々しくて」をメジャーにアレンジして弾くと、今度は切実さがまったくなくなってしまった。
「マイナーコードのほうが、訴えかけたり心にギュンと刺すときはよかったりするんですよね」(清塚)
ここからは、単体の音だけでなく曲全体を指しての「メジャーorマイナー」をテーマに話を進めていきたい。
「実は、メジャーだけ、マイナーだけで作られる曲って非常に少ないんです」(江崎)
例えば「きらきら星」を聴けば、誰もがメジャー曲と聴き分けられるはずだ。この曲に、清塚はあえてマイナーコードを入れて演奏した。すると、こっちはこっちでいいのだ。個人的に、ノーマルverより沁みる。しっとり大人の雰囲気になった。だけれど、やはりメジャー曲という印象は変わっていない。逆に、ベートーヴェンの「運命」はマイナー曲だが、エンディングではメジャーコードが使われているらしい。
「“ガガガガガーン”の最後の“ガーン”は明るくなっちゃってるんですね」(江崎)
メジャーの中にマイナーを入れたり、マイナーの中にメジャーを入れたりすると、曲に異なる味わいが出る。ちょっとしたアレンジの域、隠し味だ。カレーを作るとき、深みを出すために入れるビターチョコのようなものか? でも、なぜ味わいが出るのかはわからない。今回の企画は、すべて答えが出ないまま終わるのだ。
「全部、わかんないです!」(清塚)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事