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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > なぜ『魔女の宅急便』は胸にしみるのか?
アレのどこが面白いの? ~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~

『魔女の宅急便』は「上京あるある」 心細さ切なさ満載で何度も見てもいい

「いちいちハラハラ」のオンパレード

 まず1つ目。1人ぼっちで新生活を始めるキキの心情を描くには、話し相手が必要になります。ずっと独り言や心の声でキキの心情を描くのはキツイですよね。かと言って、1人ぼっちの“上京”を描くには親や友だちを近くにいさせるわけにはいきません。

 そこで、言葉を話せるネコのジジを帯同させているんです。この「しゃべれるネコ」というのは見事なチョイスだなと思いました。魔女が飼っているネコが言葉を話せる、という設定は全く違和感がありませんよね(これはおそらく原作からあった設定なので、宮崎駿監督が考えたものではないと思いますが)。

 2つ目。いちいちハラハラさせてくる。キキは魔女としてかなり未熟。ホウキで空を飛ぶのが下手くそです。そのため、ラストのクライマックスはもちろんのこと、空を飛ぶ時の不安定さでとにかくハラハラさせられます。

 これは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を大人になってから見た時にも同じような感覚を抱きました。紆余曲折・ハラハラドキドキで主人公がなんとかデロリアン(車)に乗って未来に帰ってきた、と思って安心した矢先、到着した未来で車が小屋に突っ込む、というシーン。

「最後の最後までいちいちハラハラさせてきよんな~」「さすがはスピルバーグ」と、なぜか上から目線で感心してしまいました。宮崎映画も『魔女の宅急便』に限らずこの「いちいちハラハラ」のオンパレードです。やはり巨匠は作品の細部に魂を宿します。

 他にも細かく思ったことはありますが、主に言いたいことは書けたので今日はこの辺で。

放送作家。松本人志・高須光聖がパーソナリティを務めた東京FMのラジオ「放送室」で行われたオーディションをきっかけに放送作家の高須光聖に師事。以降、テレビやYouTubeでさまざまな番組を担当。主な歴代担当番組は『くりぃむナントカ』『シルシルミシル』『めちゃ×2イケてるッ‼』『ガキの使い 笑ってはいけないシリーズ』『得する人損する人』『激レアさんを連れてきた。』『新しい波24』『1周回って知らない話』『ゴン中山&ザキヤマのキリトルTV』『GET SPORTS』『ヨロシクご検討ください』『青春高校3年C組』『今田×東野のカリギュラ』など。

Twitter:@kikakusouko

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ふかだけんさく

最終更新:2023/02/28 06:42
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