“ムラムラ”した漢が喰いたくなる五反田「梅林」の肉かた焼きそば

血気盛んな漢にはたまらない

　具材は豚肉とニラのみ！

　餡は滋味深い、中国醤油とオイスターソースを掛け合わせたような旨味で、揚げ麺は少し弾力を感じる中細麺。

　最小の具材で最大の破壊力、中野坂上のミッキーかた焼きそばとはまた違うタイプの豪速球。梅林の肉かた焼きそばには引き算の美学を感じる。

　他店舗でもいわゆる「肉かた焼きそば」はときどき見かけることはあるが、ここまで潔いのは唯一無二であり、白球を追いかける健康優良高校球児のような清々しさと、肉体賛歌のマッチョイズムが同居している。

　現に、血気盛んな漢にはたまらない濃厚味なので、これをオカズに白飯をかっ喰らいたいくらいだ。ある意味、「五反田らしい」かた焼きそばといえるだろう。

　美味いのはうれしいことだが、ひとつだけ厄介なことがある。

　一度このかた焼きそばを食べてしまうと、記憶の海馬にベットリとこびり付いてしまい、以降、写真を見るだけでパブロフの犬のごとく反応してしまうのだ。

　今、記事を書いているこの瞬間も、禁断症状に苛まれて唾液が止まらない。

　「まん防」こと、まん延防止等重点措置も解除したし、性に奔放な男子もかた焼きそば好きも、ムラムラしたら五反田へGO。

＜INFO＞
・梅林
住所：東京都品川区東五反田1-24-1営業時間：［月～土］11:00～22:00　［祝］11:00～21:00
定休日：日曜
＊新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合あり

＜連載「かた焼きそばのフィロソフィー」の過去回＞
第1回：「海老天ベンツも潜む圧倒的な情報量の“揚げ日本そば”スタイル」
第2回：「中野坂上にも“夢と魔法の王国”があった！ 豚レバーとピリ辛餡が刺激的な『ミッキー』のかた焼きそば」
第3回：「椎茸・ザ ・ボンバーの一点突破！ “映え”だけじゃない極端かた焼きそばの滋味と享楽」
第4回：「インド、アメリカ、中国が同盟を結んだ！　フォークで食べる常識破りのジャンクかた焼きそば」
第5回：「創業90年の町中華で味わう極上“アンビエント”かた焼きそばの宇宙と無常観」
第6回：「まるでかた焼きそばのサラダ！　立川で100年以上続く福来軒の懐かしくて新しい逸品」
第7回：「エキゾチックなタイ版かた焼きそば“あんかけのスコール”で微笑みがあふれ出す！」
第8回：「“かた焼きそば名門校”出身の料理人による天衣無縫のあんかけと病みつき揚げ麺」
第9回：「羽生善治九段の勝利にも貢献した“将棋めし”聖地が『かた焼き祭り』を開催！」
第10回：「人生につまずいたときに優しく迎えてくれる中目黒の王道かた焼きそば」
第11回：「ベトナムと日本をつなぐ『あんかけ揚げめんフォー』のワンダーランド」
第12回：「水木しげるが傑作マンガ誕生の糧にした湯桶サイズの『揚げかたやきそば』」
第13回：「渋谷の名店『麗郷』で使える裏技！　メニューにないバキバキかた焼きそば」
第14回：「横浜レジェンド町中華『奇珍』具材に負けない揚げ麺のスーパーイリュージョン」

MARUOSA（ミュージシャン）

1980年、大阪生まれ、東京在住。エクストリーム・ミュージシャンとして、これまでに20カ国以上でライブを行い、世界3大メディア・アート・フェスのひとつ「ソナー」（スペイン）、約28万人も訪れる欧州最大級の「ロスキレ・フェススティバル」（デンマーク）、世界最大の音楽見本市「SXSW」（アメリカ）などに出演。かた焼きそば研究家としてテレビ・ラジオ出演やコラム執筆といった活動も行う。

Twitter:@maruosa

Instagram:@maruosa

【maruosa.com】

まるおさ