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『家つい』郷ひろみを50年追いかける91歳の古参ファン「ひろみのファンじゃなかったら生きがいを失っていた」

『家つい』郷ひろみを50年追いかける91歳の古参ファン「ひろみのファンじゃなかったら生きがいを失っていた」の画像1
『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)

 4月13日放送の『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)は、趣味に人生を捧げる“熱狂的マニア”の特集であった。

HARD OFFよりもHARD OFFな、“寄居のファミコン屋敷”

 夜の日暮里駅前でスタッフが声をかけたのは、44歳の男性。PlayStationのキャップを被り、マッピーのTシャツを着て、メガドライブのトートバックを肩に下げるという完全武装だった。特に、マッピーがなつい! つまり、彼はレトロゲームマニアだ。

 というわけで、今回は寄居にあるというこの人の家へついて行くことに。日暮里から寄居というのも遠い道のりである。タクシーで家へ向かう車中、スタッフは男性にインタビューした。彼の職はインテリアの販売で、現在は独身。生まれてからずっと実家住まいのようだ。

 到着すると、そこは築35年の大きな一軒家だった。2階にある彼の部屋に足を踏み入れると、物がいっぱいなのだ。洋服ダンスを開けると、30年かけて集めたというファミコンカセットがズラーっと並んである。そんな、パンツみたいに収納しなくても……。

「だぶってるものもたくさんあるんですけど、1500本くらいあると思うんですよね」
 
 正直、見ていてワクワクする。90年代で時が止まった、寄居のファミコン屋敷。とても44歳とは思えないリアルこどおじの部屋に、ファミコン直撃世代の筆者は歓喜だ。聞けば、今はせどりが発生するほどレトロゲームの値は高騰しているらしい。そういう意味でもテンションは上がる。

 バリエーションもスゴい。ファミコン以外にゲームボーイ、PCエンジン、スーパーカセットビジョンのソフトも収集しているようなのだ。さらに、初期型のファミコンも保管してある。ABボタンが四角い型のやつだ。四角は押すとボタンが埋まり、連射できないというデメリットがあった。もし令和だったらリコールされてもおかしくないが、昭和ならではの迂闊さが40代にはたまらない。

――これ(1500本ものソフト)、やるんですか?
「やらないです。ほぼやったことはない、集めるだけになっちゃって」

 履かないで集めるだけのスニーカーマニアみたいなものか? ある収納箱を見ると、アメリカのゲーム会社「ATARI」のソフトも保管してあった。かつて、スティーブ・ジョブズが働いていたメーカーである。やはり、彼はATARIのゲームをやったことがないらしい。何しろ、本体さえ持っていないというのだから。棚の上を見ると、収納しきれない各種ソフトが積み重なって高層化していた。

「ただ積み重なってる状態で。こういうの、『積みゲー』って言うらしいですけど」

「積みゲー」なんて言葉を筆者は初めて聞いた。「積読(つんどく)」みたいなものだろうか? だとすると、プレイするつもりのソフトを「積みゲー」と呼ぶのが正しいはず。でも、この人はあまりやらない。

 変わった人である。ふと彼の姿を見ると、被っていたキャップが「PlayStation」のロゴマークではなく「HARD OFF」のそれに変わっていた。ネットで調べると、NEW ERAから発売されたお洒落なブツのようだ。

「戦闘服みたいな感じです」

 ソフトもキャップも、錚々たるコレクションだ。明らかに、ファミコン芸人フジタよりちゃんと保管している。綺麗なスペースで展示し、博物館化したら面白そうである。ところで、彼はこれだけ集めるのにいくらくらいの金額をかけたのだろうか?

「100万円くらいいってるのか……?」
――100万円で済みますか?
「HARD OFFで買ってますからね(笑)」

 この男性が初めてゲームに触れたのは小学生のとき。特に好きだったのは、スーパーマリオだそうだ。だから、スーパーマリオを見るとつい買ってしまう。何しろ、同じようにしか見えないスーパーマリオのソフトを10個以上も所有しているのだから。

「マニアの人から見ると、それぞれ製造年月日が違ったり。(裏面に印字された「831018」という数字を指して)これが製造年月日。1983年10月18日製造です」

 硬貨のようにゲームソフトを集める彼。でも、スーパーマリオは1985年9月13日発売だから辻褄が合わないんだけど……。その数字は本当に製造年月日なのか? 謎は深まるばかりである。

 そんなスーパーマリオコレクションの中に、「うちだ」とマジックで名前が書き込まれたカセットがあった。

「貸し借りして、返ってこなくなったりするんですね。借りパクされて。それを防ぐために、うちだ君も一生懸命『うちだ』って書いたと思うんですね」

 ファミコンカセットに名前を書くのは、我々世代のあるあるである。筆者も借りパクはよくされたし、したこともあった。悪気はない。返すタイミングを失ってしまうのだ。あと、誰に借りたか忘れてしまうこともよくあった。だから、名前を書く。当時は中古ゲーム屋がなく、売る発想もなかったのでバンバン名前を書いたものだ。当然、この手のソフトはHARD OFFではジャンクコーナー行きである。ユーザーとしても、名前ありのカセットはあまり買いたくないが……。

「(小学生)当時、そんなに(ゲームを)やってはいなかったです。(大人になって)お金が自分で使えるようになったので、ファミコンを集めるようになって。HARD OFFの奥に行くとジャンクコーナーっていうのがあるんです。『うちだなに君の愛用してたマリオなのかな?』と思うと、感慨深い。そこに夢が詰まってます(笑)」

「うちだ」の文字を除光液で消さない理由がわかった。ファミコンに込められた夢をコレクションしているということ。ある意味、彼は変態である。

 最後、カメラの前で実際にスーパーマリオをプレイしてもらった。カセットを差し込み、スイッチを入れる……けどもつかない。接触が悪いからだ。カセットを抜いた男性は、端子の部分に息を吹きかけた。40代以上にはおなじみのルーティンである。ただ、錆びるから本当は“息フーフー”はやっちゃいけないらしいが……。

 というわけで、プレイスタート! すると、彼がうまくなかったのだ。この男性と筆者は同い年だが、44歳でこのスキルはかなり下手な部類に入る。ゲーマーというより、やはりこの人はコレクターなのだろう。

――ご実家から出られることを考えたりしましたか?
「考えたことはないですね。この部屋、居心地がいいじゃないですか(笑)」
――今後の目標はありますか?
「ファミコンソフトを少しでも集める。やったことないゲームをできればやりたいですね。HARD OFFに行ってジャンクコーナーをガサガサしてるときが幸せですね。大人になって調べてみると、知らないものがたくさんありました」
――世界が広がっちゃった?
「広がりすぎて部屋が狭くなりました(笑)」

 絵に描いたようなこどおじだったが、「世界が広がりすぎて部屋が狭くなった」はいい言葉だと思う。HARD OFFよりもHARD OFFな、寄居のファミコン屋敷。いつか、『家つい』には“こどおじ特集”をやってほしいと思った。

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