水ダウ「30-1グランプリ」意外と過酷なお笑いGPで生き残れそうな方法
#水曜日のダウンタウン
Eブロック
1組目「ニッポンの社長」(決勝進出)
ニッポンの社長さんらしい、とても発想力のあるネタで、二人の温度差、テンションの緩急がしっかりとしていて面白かった。さらにギミックの作りこみ具合も素晴らしい。決勝戦のネタも設定は面白かったが、瀬戸物を避ける演技の部分があまり凝っておらず、3回とも同じ表現だったので、最後はもっと違う表現が出来たのではないだろうか。設定やキャラクターが良いだけに、その辺りを雑にしてしまうのが勿体ない所である。
2組目「うるとらブギーズ」
文化祭の準備中にふざけたやつが先生に怒られるという、とてもスタンダードなネタ。顔の落書きに耐えられず、怒られている最中に自分で笑ってしまうというところはうるとらブギーズっぽいネタであるが、笑いの要素が落書きと思わず笑ってしまうところなので、2回目はもう少し違う笑わせ方をした方が展開が生まれたかも。
3組目「ワンドール」
初めて見たコンビだったが自分たちのキャラクターを知っていて、とても見やすいネタだった。テクニカル的な修正点があるとすれば女の子の顔を見せた方が良いと思うので、ツッコミは舞台の後ろ側に立たずに少し前、もしくは真横に立った方が女性が顔を上げたとき、お客さんに見せられる。さらにツッコミの男性が俗に「手芝居」と言われる、手でセリフの表現をしてしまいお客さんの気が散ってしまうので、直すべき。
4組目「怪奇!YesどんぐりRPG」
普段はギャグをやっている三人なのでギャグで来るかと思いきや、正統派のコントで挑戦。笑いの初速はかなり良く、ネタの設定も良かったのだが、後半特に笑いになるボケやポイントが無かったので、勿体なく感じた。せっかく子供の心のままお年寄りになったので、もっと子供こどもしたボケをした方がギャップがあって良かった。
5組目「滝音」
漫才をやっている姿は何度か見たことがあるが、初めてコントを見た。漫才に比べるとテンポが悪く、2人のキャラクターがたっていなかった。さらに漫才でやるような芝居をコントでやってしまうと下手に見えてしまうので、コントの時にはもっと役に入り込まないといけない。笑い的にも、もう少しボケを多くしてテンポを上げ漫才に近づけたほうが、違和感が無かったのではないだろうか。
6組目「パンプキンポテトフライ」
30秒ならではのボケで、しかも着眼点も変なところなので面白かった。笑いが起こるのが最後のワンポイントだが、キャラクターの良さで待ってられるのが谷さんの強みだと思う。30秒なので両ボケのように見えてしまったが普段はどんなネタをしているのかとても興味深い。
7組目「ビスケットブラザーズ」
面白い。登場してすぐに面白そうと思わせるシルエットのボケ原田さん。そして多少強引なボケでもそのキャラクターに合っているので、なんの違和感も感じさせてない。こういう30秒のネタだとボケだけが印象を残し終わってしまうパターンが多いのだが、ツッコミのきんさんも自分に合ったツッコミ方がわかっており、きちんとつっこみで笑いを起こしている。素晴らしいバランスだ。
8組目「チャンス大城」
犬の為だけに歌う氷室京介というタイトルで、本当に犬のぬいぐるみの為だけに歌を歌うネタだった。最初は「そのままじゃん」と思って見ているのだが、段々と面白くなっていき、笑いがこみ上げてくる。しかし途中で犬に鼻を噛まれて一度舞台袖にはけて、鼻血を出しながら戻ってくるという演出。先輩に対して失礼な発言かもしれないが、明らかに蛇足である。こんなにちゃんとした蛇足は久しぶりに見た。
以上、40組の全ネタレビューだったが、こうして見てみると30秒という短い時間の中で、人を笑わせるのがいかに、難しいのかが改めてわかった。さらにトーナメントの組み合わせがこれほど、露骨に出る大会も珍しい。そのグループにいなければ決勝へ行けたコンビが、何組かいる。運も実力のうちだ。
今回、決勝に残った5組を分析して言えることは、30秒の最後に笑わせたもの勝ちということだ。もちろん30秒間笑わせ続けたものが1番凄いのだが、それが出来ないなら、最後の5秒にかけるのだ。最初の5秒がどれだけ面白くても最後の5秒が同じくらい面白かったものには勝てないのだ。ネタ直後に審査されるならなおさらだ。
これから「30-1グランプリ」で優勝を目指す若手芸人たちよ、30秒に命を懸けるのではなく、最後の5秒、たった5秒に命を懸けるのだ。どんな芸人にも負けない5秒ボケが完成すれば必ず優勝出来るはず。ただし30秒間面白い芸人が出てしまった場合は諦めてくれ。
君には24時間365日を5秒に捧げる覚悟はあるかな?
もしあるのなら……違うことに時間を使った方が良い。間違いなく。
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