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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『キングオブコントの会』“合同コント”考

『キングオブコントの会』、最大限に豪華キャストを揃えた“合同コント”

合同コントを成功に導くう大さんやじろう。

 合同コントに対する芸人の在り方に対して、たまに勘違いをしている芸人がいる。例えば「芸人同士がぶつかりあって笑いを産みだす」とか「ボケが強いほうが勝つ」などと、コントの中でどちらが上か戦うようなイメージで捉えているケースだ。

 確かに戦いかもしれないが、マウントの取り合いではなく、合同コントは「共同戦線」だ。ちなみに「共同戦線」とは共通の目的に対して本来、主義主張が異なる者、団体同士が一致した行動をとるという意味だ。まさに合同コントそのものではないか。

 僕も芸人時代には何度も、合同コントをしてきたが、自分だけ目立とうとか、ほかの人の見せ場に無理やり入ってきてしまうとか、そういう空気が読めない芸人は悲しいかな存在した。ただ、お客さんの嗅覚は鋭く、そういう「唯我独尊芸人」のボケは最初のうちはウケるが、そのうち笑われなくなっていくのだ。

 ではどういう芸人が好まれるのか? それは人の見せ場では、自分のキャラクターを損なわない程度に大人しくし、自分の見せ場になったときに全力で輝く芸人だ。

 今回の『キングオブコントの会2022』でいえば、東京03角田さん、かもめんたるう大さん、シソンヌじろうさん、ロバート秋山さんそしてバイきんぐ西村さん辺りだろう。

 特にかもめんたるのう大さんとシソンヌじろうさんはかなりうまい。自分がボケるまでは、いるかいないかわからない程度の存在感でひっそりと佇み、ボケるタイミングになったら恐ろしいほどのパワーを発揮する。芝居の上手さも役者さんにひけをとらない。ただその2人よりさらに芝居が上手いと思ったのはバイきんぐの西村さんだtた。彼の芝居の上手さはあまり話題に取り上げられることはないが、僕がコントをつくるとしたら真っ先に欲しい人材だ。芝居も上手いしボケられるしつっこめる。

「かもめんたる う大」「シソンヌ じろう」「バイきんぐ 西村」……そこに、シソンヌの長谷川さんや東京03の飯塚さんのようなつっこみを入れたらどんなコントだって面白くなるだろう。さすが王者たちだ。

 ちなみにこれは個人的な意見だが、そのボケの3人よりさらに上のボケが僕の中では存在する。それはさまぁ~ずの大竹さんだ。大竹さんの凄い所は存在しているだけで面白い所だ。さらにただ文句を言っているだけで笑いが起きる。シリアスな芝居が出来る。大声が面白い。反応が早い。抜群に芝居がうまいなど面白い理由は山ほどある。

 もしまだ『キングオブコントの会2022』を見ることが出来るなら、番組の最後に披露した松本さんが作った合同コントを見て欲しい。大竹さんの魅力がふんだんにつまっている。

 とにかく合同コント経験者から言わせてもらうと、合同コントは面白くしやすいし、実際にやってみると楽しい。ただ、たまにやるから楽しいのであって、しょっちゅうやっていたら新鮮味もへったくれもなくなる。

 キングオブコントの会のように1年に1回やるくらいがちょうどいいのだ。また来年が楽しみだ。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2022/04/18 20:00
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