チョコプラ「悪い顔選手権」大ヒットの要因は“芸能人を犯罪者に仕立てる”背徳感
#深田憲作 #企画倉庫 #アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~
放送作家の深田憲作です。
「企画倉庫」というウェブサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。
1回目は「トークサバイバー」、2回目は「東谷義和のガーシーch」について書かせていただきました。今回は芸人・チョコレートプラネットのYouTubeチャンネルで人気の企画「悪い顔選手権」について分析してみたいと思います。
なぜ人はガーシーchを“見てしまう”のか?「正義よりも恨みの方が興奮する」
放送作家の深田憲作です。 「企画倉庫」というウェブサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこ...この動画が公開されたのは2020年11月。瞬く間に動画は話題となり、以降、人気シリーズとしてEXILEのATSUSHIさん、古舘伊知郎さん、小沢仁志さん、小林幸子さんなど、様々な著名人が出演してきました。さらにはテレビ番組でもこの企画が行われ、ローラさん、滝沢カレンさん、ベッキーさん、乃木坂46秋元真夏さんといった女性タレントも挑戦しています。
この企画のスゴイ所は先述した女性タレントのような「顔立ちが怖くない人」がやっても面白いことだと思います。
EXILEのATSUSHIさんや小沢仁志さんといった“顔立ちが怖い人”がやった時に「怖いな~」「悪そう~」という面白さがあることは、容易に理解できます。古舘伊知郎さんや小林幸子さんといった大物芸能人がやることで、その貫禄や「なにやってんすか」という面白さがあることも理解できます。
ただ、顔立ちがキレイ、またはカワイイ女性タレントでやっても面白いというのは驚異的です。先日、テレビ番組で一般の方がやられているのを見たのですが、それすらも面白かったんです。つまりはどんな顔でも、バラエティ力の有無に関わらず「誰がやっても面白い」という奇跡の企画です。
芸能人が犯罪者に仕立てられるのがおもしろい
では「悪い顔選手権」の一体どこが面白いのか? まずは「人の悪い顔を見る」ことが面白いのかを考えてみました。私の結論としては「悪い顔は面白いけど、悪い顔というだけではそこまで面白くない」です。
例えば、芸能人の悪い顔を見る企画として「メンチ切り選手権」「鬼の形相選手権」をローラさんや秋元真夏さんでやったと想像した時に、面白そうな気はしますが「悪い顔選手権」の方が絶対に面白いと思いました。
それにメンチ切りや鬼の形相は、それをやる時のタレントの顔の表現力が面白さを大きく左右する気がします。一方で「悪い顔選手権」はしかめっ面顔で歩いていれば面白くなります。演技力や顔の表現力はほとんど問われないと思います。
では「悪い顔選手権」の決定的な面白さはどこにあるのか? それは「芸能人を犯罪者に仕立てている」というところではないでしょうか。
「悪い顔選手権」でやっていることを一言で説明するならば「ニュースの逮捕映像のパロディ」であり、面白さの核もそこにあると思います。
では「パロディをして芸能人を何かに仕立て上げて、面白くなる企画は他にあるのか?」を考えてみます。
犯罪者の逆で「ヒーローに仕立てる」だとどうでしょうか。例えば、世界各国の大統領が会談する映像に芸能人を合成したら面白いのか? これは蛭子能収さんや海原はるかさんなどでやると面白そうなイメージは出来たのですが、イケメンや美人芸能人でやった時にそれほど面白くない気がしました。様になってしまってそんなに笑えなさそうかなと。
他に、怪獣と対決するウルトラマン、大勢の民衆の前でスピーチする大統領、スティーブ・ジョブズのような経営者プレゼン系など、成功者や英雄的な人に仕立てた映像を想像してみましたが「誰がやっても面白くなる」と思えるものはありませんでした。
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