トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ  > コロナ禍でも踏ん張る「旅行ガイド」の奮闘

『地球の歩き方』がジョジョとコラボ!『るるぶ』はモヤさま、千鳥…コロナ禍でも踏ん張る“旅行ガイド”の奮闘

『地球の歩き方』がジョジョとコラボ!『るるぶ』はモヤさま、千鳥…コロナ禍でも踏ん張る旅行ガイドの奮闘の画像1
『地球の歩き方 JOJO ジョジョの奇妙な冒険』(学研プラス)

 コロナ禍でダメージを受けた業界を挙げればキリがないが、ダメージの大きさと長さという点でトップクラスに位置するのが旅行ガイドだ。海外旅行が絶望的なのはもちろん、緊急事態宣言とまん防が繰り返し発出される状況では、国内旅行さえ楽しめるムードではない。編集部は一時、絶望感に包まれたという。トラベルライターは言う。

「旅行ガイドは、ゴールデンウィーク、夏休み、秋の旅行シーズン、1月から2月の卒業旅行シーズンなど、必ず売れる時期が年に何度もあるので、本屋にとってドル箱的存在。普段はなかなか本屋に足を運ばない層も来店するので、店内の目立つ場所に棚を作り、客を招き入れます。しかし、コロナが始まって以来、旅行ガイドコーナーはずっと閑古鳥で、中でも海外旅行ガイドの売り上げは惨憺たる有様。棚が縮小されるのも致し方ない状況です。

 旅行ガイドの編集者によれば、コロナ前と比べて売り上げが9割以上減った時期もあったそうで、これから出す本に『観光客が殺到する』『大勢の人が集う』『肩を寄せ合って』といった表現を使って良いかどうか迷ってしまうそう。旅行ガイドはフリーランスのライターやカメラマンに委ねる部分が多く、外部スタッフは生きるのに四苦八苦の状況です」(トラベルライター)

 飲食店やホテル、航空業界などがコロナで疲弊する状況は、しばしばメディアで伝えられてきたが、それ以外にも苦しんでいる人は多いということ。ただ、2年以上も続くこの状況を、旅行ガイド編集部も黙って見ていたわけではない。これまで培ったノウハウと集めてきた情報で、新たな分野を開拓しているのだ。

「旅行ガイドのパイオニアの『地球の歩き方』(学研プラス)は、2020年7月に『世界244の国と地域』を発売以来、『世界のすごい島』『世界のすごい巨像』『世界のグルメ図鑑』など、新境地を開拓。今年2月には雑誌『ムー』とコラボした『異世界の歩き方』を発売し、こちらは大当たりしました。今年7月には、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』とコラボした『地球の歩き方 JOJO ジョジョの奇妙な冒険』を発売予定。世界各地のジョジョスポットをガイドする内容で、ファンにはたまらない一冊です。

 別の角度からアプローチしているのは『るるぶ』(JTBパブリッシング)です。こちらはよりエンタメ方面にフォーカスしており、『ONE PIECE』『キン肉マン』『QuizKnock』『いろはに千鳥』、さらに『宇宙』も発売。つい先日には、『モヤモヤさまぁ~ず2』とのコラボ本の発売も発表されました。

 コロナ禍がこれだけ長く続く状況で、旅行ガイドの売り上げは低迷したままですが、こういったコラボ本の売り上げはどれも順調で、出版社も大きな手応えを感じているようです。あるベテラン編集者は『まさにケガの功名だ』と話していましたし、コロナが収束してもまだまだ面白い本が出てきそうです」(書店関係者)

 ただ、旅行ガイド出版社はコラボ本のヒットに喜んでいるものの、「正直、ネタには詰まっている」(書店関係者)とか。“こんなコラボが読みたい!”と思ったら、リクエストしてみるのも手かも?

藤井利男(ライター)

1973年生まれ、東京都出身。大学卒業後に週刊誌編集、ネットニュース編集に携わった後、独立。フリーランスのジャーナリストとして、殺人、未解決事件、死刑囚、刑務所、少年院、自殺、貧困、差別、依存症といったテーマに取り組み続けてきた。趣味はダークツーリズム。

ふじいとしお

最終更新:2022/04/11 13:00
ページ上部へ戻る

配給映画