なぜ人はガーシーchを“見てしまう”のか?「正義よりも恨みの方が興奮する」
#深田憲作 #企画倉庫 #アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~
ガーシーはしゃべりが異常にうまい、ゆえに信じてしまう
まずはシンプルに「有名人のゴシップは面白い」ということに尽きるでしょう。芸能人に限らずとも、例えば「近所の主婦が隣の家の旦那と不倫している」という噂を聞けば誰もが興奮することでしょう。2つの意味で。そして、その話の信憑性が高ければ高いほど興奮度は上がります。ガーシーの暴露はその「信憑性の高さ」を併せ持っていることが夢中ポイントの1つだと思います。
信憑性が高く感じる要因として、ガーシーが名前を挙げている芸能人と一緒に映った写真を何枚も公開していること。エピソードが実に具体的であること。ガーシーのしゃべりが一般人としては異常にうまいこと、などが挙げられます。その信憑性は田村淳さんや武井壮さんがライブ配信で「東谷さんとは友だちです」と発言したことでより、高まることとなりました。おそらく、動画を見ている人の大半が「たぶんこの人の言っていることは本当なんだろうな」と思って見ているはずです。
信憑性で言うと近年、週刊誌のゴシップ記事の信憑性を著しく向上させたのが「週刊文春」(文藝春秋)の存在でしょう。サイゾーさんで書くのも申し訳ないですが(笑)。
ひと昔前は「週刊誌に書かれている芸能人のゴシップはウソが多い」というのが国民のイメージだったと思います。しかし「週刊文春」がスクープを連発し、幾人もの芸能人がその事実を認めて謹慎に追いやられていくうちに「週刊誌に書かれていることってホントなんだ……」というイメージに変わっていきました。その意味でガーシーのことを「週刊文春の個人版」といった言い方をする人もいます。
ただ「週刊文春」とガーシーでは決定的に違う点があります。それは、週刊誌はあくまで中立な立場でスクープをしており、社会正義も背負ってやっている感じがあるのですが、ガーシーは極めて個人的な恨み、いわば私怨(しえん)で暴露を行っているという点です。週刊誌というよりは暴露本寄りなんです。
この恨みという感情が乗っていることが世の人々を不覚にも(?)夢中にさせている大きな要因なのではないでしょうか。ここにも人間の本能に根ざした何かがあるはずです。人間は「正義よりも恨みで戦っている人を見る方が興奮する」という性質を持っていると思います。格闘技の試合でも品行方正な選手同士がクリーンに戦うよりも、憎しみ合い、記者会見でも取っ組み合いを始めてしまう選手同士が戦う方がワクワクしてしまうものです。これも狩猟採集時代に、領地を奪い合って決闘する仲間を興奮しながら見ていた頃のDNAが発動しているのかもしれません。
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