なぜ人はガーシーchを“見てしまう”のか?「正義よりも恨みの方が興奮する」
#深田憲作 #企画倉庫 #アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~
放送作家の深田憲作です。
「企画倉庫」というウェブサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。初回はNetflixの「トークサバイバー」について分析しました。
2回目となる今回はYouTube&芸能界を賑わせているYouTubeチャンネル「東谷義和のガーシーch」について分析してみます。
このチャンネルを知らない方にはどれだけ丁寧に説明しても伝わらないと思いますが、簡単に言うと「一般の方が、これまで繋がりのあった芸能人の暴露をしているYouTubeチャンネル」です。
この暴露動画に芸能人を含めて多くの人が夢中になっています。そういった現象も含めて「面白さの正体」を研究するうえではいいコンテンツだと思ったのでテーマにさせていただきました。ここでは倫理観という言葉は忘れさせてください(笑)。私はこの暴露チャンネルを推奨しているわけでも、反対しているわけでもありません。なぜあんなにも人を夢中にさせるのか? それを真面目に分析してみたいと思っただけです。
私もこのチャンネルの全ての動画を見ていますし、この記事を書いている時点ではテレビ業界の誰と話しても、ガーシーの話題になります(ここからはガーシーと呼ばせてもらいます)。
ガーシーについて人が口を開く時、必ずと言っていいほど出る言葉は「見ちゃってる」「見てしまってる」といった言い訳的なニュアンス。中には聞いてもいないのに「俺はああいう暴露とかは好きじゃないのよ。見た後はテンション下がっちゃうし。でもなんか見ちゃうんだよね~」という長めの言い訳をかましてきます。みんなあの動画を見ていることに後ろめたさや罪悪感を抱いているようです。
それもそのはず、あの動画で語られていることが事実ならば、暴露された芸能人の人生を狂わせる内容。例えそれが自業自得であっても、人が不幸になる動画を好き好んで見る人間でありたくないというのが、人間の性(さが)なのでしょう。そんな罪悪感を抱きながらも夢中で見てしまう。このチャンネルの動画は理性では歯止めが効かない、本能に訴えかけてくる何かがあるようです。
「人見知りする」「雨の日は気分が下がる」「清潔感がある人がモテる」といった本能の大半は、狩猟採集時代に培われたものであることは調べがついているのですが、なぜ他人のゴシップがこれほどまでに人の心を動かすのか? これはいずれ心理学、もしくは生物学の先生に話を聞いてみたいと思っています。もしかすると世界的ベストセラーになった「サピエンス全史」で述べられた“認知革命”と関わりのある話なのかもしれません。まさかのガーシーとサピエンス全史が繋がってしまいました(笑)。
では、ガーシーchの面白さについて具体的に考えてみます。一体どこが面白いのか?
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