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朝食をぬくと逆に太ることが判明、名古屋大学の研究G発表 

朝食をぬくと太ることが判明、名古屋大学の研究G発表 筋肉萎縮で運動機能障害もの画像1

 習慣的に朝食を食べないと、逆に体重を増加させ、糖尿病などの生活習慣病につながる可能性が大きくなるだけではなく、筋肉を萎縮させて運動機能障害が起こる可能性があるという研究結果を、名古屋大学の研究グループが3月23日に発表した。
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 同報告によれば、日本をはじめとする先進国では若者の3割程度が朝食を取らないと見られている。これまで、朝食は食べた方が健康になるのか、食べない方が良いのかという「朝食論争」が繰り広げられ、長年続いてきている。特に、ダイエットに関しては、朝食を食べない方が良いという本が書店には多く並べられている。

 これまで、多くの観察研究は朝食習慣が健康に良いことを示しており、体重を抑える作用があると考えられてきました。政府も朝食を食べる国民的な運動を行っている。
しかし、朝食を食べることが健康につながるというメカニズムは十分に解明されていなかった。

 研究グループは2018年にラットに「高脂肪食」を与え、朝食を抜きにすると体内時計に異常が生じて、体重が増加することを明らかにしている。

 この時の研究から、朝食を食べることは体内時計を正常化させることで太りにくい体質を作り、生活習慣病の予防に重要であることが遺伝子レベルで明らかになった。

 そこで今回の研究では、マウスに「普通食」を与え、活動期の最初の4時間を食べさせないようにし、朝食抜きの状態にした。

 その結果、普通食でも朝食を抜きにすると脂肪組織重量が増加して体重増加が見られた。これは体温や肝臓や脂肪組織での体内時計に異常が生じたためであることが明らかになった。

 さらに、朝食を抜くことで筋肉重量の低下が起こることを初めて発見した。これは筋肉の体内時計の異常によるものと考えられる。

 これらの結果から、朝食を習慣的に抜くと、脂肪組織の増加による体重増加が起こるだけではなく、糖尿病などの生活習慣病の前段階であるインスリン抵抗性状態のメタボリックシンドロームの危険性を増加させるだけでなく、筋肉を萎縮させて運動器の障害が起こり、移動機能が低下するロコモティブシンドロームや、加齢に伴い通常以上に筋肉の萎縮が起きるサルコペニア(加齢性筋肉減弱症)の危険性を増大させることが明らかになった。

 研究グループでは、「朝食は子供には十分な栄養素を供給する役割があり、成人にはメタボリックシンドロームを抑える効果が期待され、さらに老年期には筋肉萎縮を抑制してロコモティブシンドロームやサルコペニアの危険性を抑える作用があることが明らかとなった」とコメントしている。

 ダイエットには、科学的な根拠のない民間療法的なものも多い。栄養を摂取しない、食事を取らない、あるいは偏った食品だけを食べるといった方法もある。

 しかし、食事を取らないことは体が必要とする栄養が摂取できないだけではなく、拒食症などにつながる可能性もある。

 今回の研究結果で、朝食を抜くことはダイエット効果も少なく、生活習慣病を引き起こす可能性があることが明らかになった。きちんとした食生活と適度な運動による健康維持を心掛けたいものだ。

 研究成果は、2022年3月11日付イギリス科学雑誌「British Journal of Nutrition」オンライン版に掲載された。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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Twitter:@tohrusuzuki

鷲尾香一の ”WHAT‘S WHAT”

わしおこういち

最終更新:2022/04/10 06:00
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