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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > とんねるず石橋“破天荒”でなければの理由

とんねるず石橋が“破天荒”でいなければならなかった理由とずっと変わらぬ味

南原清隆が語った「石橋から掛けられた言葉」

 当時、とんねるずさんはお笑い第三世代の代表と言われていた。他にはダウンタウンやウッチャンナンチャン、ヒロミさんがいたトリオB-21スペシャルなどが第三世代と呼ばれていた。

 僕はそんな第三世代のウッチャンナンチャンさんの事務所で芸人をしていて、今から25年ほど前、まだ駆け出しの新人だった頃ウンナンさんと飲む機会があり、南原さんからこういう話を聞いた。

「俺が初めてとんねるずさんと会ったとき、貴さんに、『やっと俺たちの後に続く若手コンビが出てきたか』と言われたんだ。たぶん大阪にはテレビで活躍する若手芸人がたくさんいたけど、東京の若手はとんねるずさんだけで頑張ってたから、俺たち(ウッチャンナンチャン)とかB-21がテレビに出てきて貴さん的に少しは肩の荷がおりたんじゃないかな」

と。確かにそう言われてみると、第三世代の芸人でとんねるずさんの後はウッチャンナンチャンさんやB-21スペシャルさんとなる。ということはとんねるずさんがオールナイトフジで人気が出始めた83年からウンナンさんが人気が出る88年まで約5年間、とんねるずさんしかいなかったことになる。

 5年もの間、第一線で活躍するのは並大抵のことではない。もしかしたら貴さんはお客さんやテレビ関係者が求める石橋貴明という強烈で破天荒なキャラクターを使い、東京の笑いを必死に守り続けたのではないだろうか。

 僕は南原さんの話を聞いた時、薄っすらそう思った。今回「おっとっと」のWEB動画を見て、その思いに対して僕なりに答えが出た。

 インタビューパートで貴さんが「予定調和は絶対にやらないということを肝に銘じてきた」と仰っていた。これは芸人なら誰しも思うことで、皆さんも聞いたことがあるかもしれないが「リハーサルでやったことは本番ではやらない」とか「台本に書かれているボケは自分なりに変える」などスタッフさんが想像している笑いや用意した笑いは絶対にやらない、その笑いを上回るという思想が芸人の中では当たり前のように根付いている。

 ただ貴さんは動画中に次の発言もしている。

「おっとっともそうだと思うが、求められているのは変わらぬ味であり、とんねるずでやってきた笑い、石橋貴明のやってきた笑いっていうのは絶対変えないし、変えるつもりもない。それは40年やってきた僕のプライドみたいなもの」と。

 予定調和は絶対にやらないのに求められている変わらぬ味を提供すると。一瞬これは矛盾しているように聞こえるがそうではない。

 貴さんに求められている変わらぬ味は『予定調和を絶対にやらない石橋貴明』というキャラクターであり、破天荒な行動なのだ。

 当時東京の笑いを守り続けた予定調和を絶対にキャラクターは、今はとんねるずの笑い、石橋貴明の笑い守っているのではないだろうか。そう思えたとき、あの当時の考えが当たっている気がした。

インタビューの最後はこんな文章で締めくくられている。

「どんなに時代が変わっても、変わらぬ味を貫き通す」

 この言葉は40年間ひとつキャラクターを貫き通した『とんねるず石橋貴明』にこそふさわしい言葉であり、説得力がある言葉である。

追伸
よし、今から貴ちゃんねるずを見ながらおっとっとを食べることにしよう。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2022/04/08 09:31
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