延々と頭を回転する「コレ絶対うまいやつ~♪」日清食品、パクリ上等の戦略
#CM #日清食品
CM業界の表現手法が時代とともに大きく変わり行く中で、今なお多くのものが制作されているのが「コマーシャルソング」モノのCMだ。
「いわゆるコマソンが今も昔も乱造されるのは『低予算でも頭に残りやすい』という理由に尽きるでしょう。その中でも『バザールでござーる』(NEC)や『ポリンキー』(湖池屋)などの楽曲をプロデュースしたメディアクリエイターの佐藤雅彦氏の作品は、各CMクリエイターが今も参照しています」(クリエイティブ・ディレクター)
そんな数多あるコマーシャルソングの中でも、奇抜なアイデアが光る日清食品のCMがある。それは、お笑いコンビ・チョコレートプラネットが出演中の「日清これ絶対うまいやつ!」だ。
ラーメン店主に扮した長田と、不思議なキャラクターに扮した松尾が“まだ見たこと無いキテレツなグッズ”に対してツッコミを加えていくコント『見たことない』。日清のCMはこの、コント内で歌われる楽曲をそのまま使用したものになっている。
「TT兄弟やIKKOのモノマネなどのキャッチーなアイコンで知られるチョコレートプラネットのネタの中で『見たことない』を選ぶ、CMクリエイターの慧眼っぷりには感服致します。もともとアカペラで歌っていたコント内の楽曲に対し、邪魔することのないシンプルなビートをつけることで、テクノポップのような味付けになっているのもセンスの良さを感じます」(CM監督)
このように日清食品は既存のネタを大胆に使ったCMを他にも作っている。それがカップヌードルCM「MISO食べたい 篇」だ。
シュールなアニメーションが特徴的な本CMだが、先程のチョコプラのコントと同じく、元ネタが存在する。往年の人気バンド・ORANGE RANGEのプロモーションビデオである「SUSHI食べたい」だ。
「日清食品のCMに共通するのは、よくも悪くもパクリに臆しないところ。キャッチーである、ネットで有名である、というツボを押さえておけば奇をてらった表現をクライアント側から求められる、と多くの商品CMを手掛ける博報堂チームメンバーも語っていました」(広告代理店関係者)
また今回紹介した「日清これ絶対うまいやつ!」、「カップヌードルMISO」。ふたつのCMに共通するのは、いずれも楽曲のテイストが“テクノ調”であるというところだ。
「日清はカレーメシのCMを2014年に放映し始めた頃から、ネットユーザーを意識し、ネット上で人気のモチーフをあえてマス広告に転用する手法を数多くおこなっています。そこにはテレビCMの放映だけで終わらせるわけではなく、TwitterやTikTokなどのソーシャルメディアでファンが二次創作を誘発する狙いがあるのでしょう。例えばTikTokの『歌ってみた』『踊ってみた』などに使いやすいよう、楽曲のテイストは自ずとテクノ調になっているのでしょう」(前出・クリエイティブディレクター)
15秒で商品のすべてを語り尽くすことは不可能と割り切り、とにかくインパクトと中毒性に振り切った日清食品のCM。吉と出るか凶と出るか。
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