土井善晴『おかずのクッキング』48年の歴史に幕…時代には勝てず?
#土井善晴 #おかずのクッキング
『ガッテン!』『バラエティー生活笑百科』(NHK)、『今夜くらべてみました』『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)、『アウト×デラックス』『痛快TV スカッとジャパン』(フジテレビ系)――今春は長寿番組の終了が相次いだが、一番の“老舗”が『おかずのクッキング』(テレビ朝日系)だ。
48年にわたって放送を続けてきた料理番組が、26日の放送で最終回を迎えた。
「『おかずのクッキング』は、料理研究家の土井勝氏の司会で1974年に番組がスタートし、1988年に息子の土井善晴氏が2代目司会に就任。料理番組には、トークが主役のもの、食材に拘って生産者にフォーカスするもの、タレントの料理の腕を見るもの、安く作ることを目指すものなど、いろいろなパターンがありますが、『おかずの…』は純粋に家庭料理の作り方を紹介する料理番組の王道でした。
ただ、放送時間がコロコロと変わった挙げ句、近年は土曜日の朝4時台に追いやられ、局として持て余している感が否めなかったのは事実。今やどんなメニューでも、ネットで調べれば作り方が検索できる時代で、テレ朝幹部の『(料理番組は)一定の役割を終えた』という会見コメントは理解できます」(テレビ情報誌記者)
料理番組が晩ごはんのヒントになることは多いが、レシピを調べるだけなら、スマホ検索の手軽さにはかなわない。料理番組が役目を終えつつあることは時代の趨勢として理解できるが、『おかずのクッキング』が醸し出す“安心感”は、他の料理番組とは一線を画していた。
「料理をなるべくおいしく作るなら、ネットを参考にした方が確実でしょう。分量がわからない心配はないですし、自分のペースで手順を繰り返して確認することもできますから。ただ、『おかずのクッキング』で土井善晴先生が続けてきた“料理を作る楽しさを伝える”という点において、これに勝るコンテンツはなかなかありません。
料理というと、どうしても身構えてしまったり、苦手意識がある人は少なくないでしょう。ですが、土井先生の上品な関西弁で、『ちょっとくらい焦げたって構わんのですよ』『後はほっといたらよろしいんです』『こんなんしたら楽しいでしょ?』と言われれば、誰もがきっと『私もやってみよう』と思ったはずです」(情報番組関係者)
“料理番組不要論”については、これまで数多くの料理本作りに携わってきた編集者も異を唱える。
「ネット検索が全盛で、料理番組の存在意義が問われていますが、本屋にはレシピ本が大量に並んでおり、しばしばベストセラーになるものもあります。ネット検索は確かに便利ですが、そこで紹介される情報は、どうしても『早く』『簡単に』『安く』といったことに目が行きがちです。
テレビ朝日は『おかずのクッキング』と同時に『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』も終わらせるそうですが、料理の間口を広げたという意味でこの2つの番組の貢献は計り知れません。ご飯を食べるだけでなく、作る楽しみを伝えられる番組は本当に貴重で、良質な料理番組が消えていくのは本当に残念です」(料理本編集者)
“昔はテレビで料理の作り方を教わっていたんだって!”と言われる日も、そう遠くないのかもしれない。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事