U-NEXT独占配信『エイドリアン』、妻を殺害した犯人と夫の対話も実録した壮絶生涯
#しばりやトーマス #世界は映画を見ていれば大体わかる
U-NEXTで独占配信中の『エイドリアン-亡き妻が世界に遺したもの-』を観た。エイドリアン、といってもロッキーの話じゃない。2006年に亡くなった女優、エイドリアン・シェリーのドキュメンタリーだ。
11月、マンハッタンの事務所の浴室で首を吊っているのを夫が発見。現場の状況から自殺とされたが、前日にハロウィンパーティーを3歳になる娘と祝い、自ら監督した映画の公開を目前に控えていた彼女に死ぬ理由がない、と夫アンディは警察に訴えた。検死の結果、遺体には痣や傷跡があり、自殺する人間につくような傷ではなく、何かを争った跡だと。他殺の可能性が生まれ、新たな謎が出てきた。では妻は誰に殺されたのか?
一週間後、犯人はあっさり捕まった。当時、エイドリアンの事務所の階下で改装の工事をしていたが、騒音を注意されたことに立腹して絞め殺し、自殺に偽装したと主張。裁判では盗難に入ろうとしたところを、彼女と鉢合わせになったため殺害したと告白した。
下された判決は懲役25年。だが、犯人は19歳の若者だったので40過ぎで出所してしまう。
アンディはどうしても事件の日に何が起きたのか知りたかった。どうするか?なんと彼は犯人に手紙を書き、会って話を聞きたいと伝えた。後半で2人は対面を果たすのだが、そこで交わされた会話もバッチリ収録されていて、日本じゃありえないよ。
エイドリアンは幼い頃から舞台を踏み、女優を目指し大学を中退してニューヨークへ。インディペンデント界の鬼才、ハル・ハートリー監督の『アンビリーバブル・トゥルース』(1989)『トラスト・ミー』(1990)の演技で注目され、以後出演依頼が殺到するが、それは彼女が夢見ていた世界とはかけ離れていた。
友人曰く「現実の彼女とは違うような役ばかりよ」。
エイドリアンにやってきた仕事のほとんどは無意味にセクシーな役ばかり。2002年公開のドキュメント『デブラ・ウィンガーを探して』ではエージェントに「(映画に)採用されるかで重視されるのは“君とヤレるかどうかだ”」と言われたことやプロデューサーからじろじろと胸元を見られて「お前の胸が気に入らない」と落とされたことを悔し気に語っている。
「20代のほとんどの時間を暗黒界の探検に費やしてしまった」
ハリウッドに失望した彼女は劇団を自ら立ち上げ、自主映画にも挑戦。演じるだけではなく自ら演技プランを立てて演出まで考える彼女を受け入れてくれない業界の壁にぶち当たりもがき苦しむ。
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