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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『ラプンツェル』は貧しい農夫の子!?
今週の『金曜ロードショー』を楽しむための基礎知識②

『塔の上のラプンツェル』は貧しい農夫の子供だった!?実は残酷な原作を大幅改良

『塔の上のラプンツェル』は貧しい農夫の子供だった!?実は残酷な原作を大幅変更の画像1
日本テレビ系『金曜ロードショー』公式サイトより

 日本テレビ系『金曜ロードショー』で放送される映画を楽しむための基礎知識、今週放送されるのは2010年公開のディズニーアニメ『塔の上のラプンツェル』だ。

 ディズニー・アニメーション・スタジオ制作の作品といえば今では粒ぞろいの傑作群として知られているが、1990年代半ばから2000年代の低迷期ときたらひどいもので、『ポカホンタス』(95)『ヘラクレス』(97)『アトランティス 失われた帝国』(01)『トレジャー・プラネット』(02)……いずれもスッカスカの内容か、興行的に大失敗したとか目も当てられないやつだらけ。95年には元ディズニーの社員だったジョン・ラセターのピクサーが、『トイ・ストーリー』で世界的な大ヒットを飛ばし「ディズニーアニメは時代遅れ」なんて言われてた時もあったぐらい。

 しかし本作が『ライオン・キング』(94)以来のヒットを記録、次いで12年の『シュガー・ラッシュ』、13年の『アナと雪の女王』と評価も興行も大成功の作品を連発し、低迷期を脱することに成功。『塔の上のラプンツェル』は10年代以降のディズニーアニメにとっての転換点となった作品である。

 製作総指揮のグレン・キーンはディズニーで一アニメーターとして活躍し、先述した低迷期にも中心メンバーとして活動していた。それゆえなんとかディズニーアニメの黄金時代を取り戻したいと考えたのだろう、初めて企画の立ち上げから関わって完成させた力作だ。

 原作はグリム童話の『髪長姫』。残酷な内容で知られるグリム童話なので、ディズニー作品のメインターゲットであるお子様たちに受け入れられるよう、内容と登場人物は大幅に変えられている。

 ある王国の王妃は出産を迎えた時、重い病にかかってしまう。王はどんな病も直す「金色の花」を探すよう命じ、兵士たちはその花を抜き取ってくる。花から取られた水を飲んだ王妃は回復し元気な女の子を生んだ。その娘はラプンツェルと名付けられる。

 花の力を独り占めし、若さを何百年も保っていた老婆ゴーテルは、花を取り返そうと城に忍び込む。ところが花の力はラプンツェルの金色の髪に宿っており、髪を切ると失われてしまう。ゴーテルはラプンツェルを攫い、森の奥深くにある塔の中に幽閉してしまう。王国では攫われたラプンツェルがいつか帰ってくることを祈り、毎年誕生日に灯りを灯したランタンを空に飛ばすのだった。

 18年後、成長したラプンツェルは塔に閉じ込められたままだったが、毎年自分の誕生日になると遠くの空に浮かぶ灯りが何なのか知りたがる。だが、自分を母親だと信じ込ませているゴーテルは、外の世界は危険だらけだと塔の外へ出ることを許さなかった。

 ある日、王妃のティアラを盗んだ泥棒のフリン・ライダーは偶然見つけた塔に逃げ込みラプンツェルに出会い、ティアラを塔のどこかに隠されてしまう。

 空に浮かぶ灯りの見える場所まで連れて行ってくれたらティアラを返す、という条件をライダーに飲ませたラプンツェルは初めて塔の外の世界に足を踏み入れる。

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