『ゴッドタン』でしか放送されない! 謎のCM「ザ・リーヴ」とプロレス団体「NOAH」の出会い
#CM #ゴッドタン #ザ・リーヴ #NOAH
『科捜研の女』(テレビ朝日系)視聴者にはビスケット「ルヴァンプライム」のCMがおなじみだし、『笑点』(日本テレビ系)視聴者には線香「毎日香」のCMがおなじみ。特定の番組ファンにのみ強くアピールする商品、サービスというものは存在する。
ところで、プロレスラーばかりキャスティングされた「ザ・リーヴ」のCMはご存知だろうか? 3月13日放送『週刊さんまとマツコ』(TBS系)が、同社の秘密に迫った。
猪木信者の社長。新日レスラーでCMを制作する予定だったが…
主に「ザ・リーヴ」のCMに出演するのは、故・三沢光晴をはじめとしたプロレス団体「NOAH」の所属選手たちだ。ダンプ松本による「丸藤ー!」の怒鳴り声を耳にすれば、「ああ、あれか!」と思い出す人も多いだろう。今回、番組では同社CMの数々が紹介されたが、TBSでNOAHならびに三沢の姿がここまで見られるなんて予想外の展開である。
まずは、同社の佐藤和弘社長が三沢の入場テーマ曲「スパルタンX」に乗って登場。地上波で三沢の映像が流れ、「スパルタンX」が聴けるとは胸熱だ。ただ、同日にNOAHは横浜武道館でビッグマッチを開催しており、思いっきりバッティングしているのは玉にキズというか。
さんま 「まだ、お若いねんねえ?」
佐藤 「59歳です」
マツコ 「それで今、プロレス界一のタニマチよね、きっと」
今でこそサイバーエージェントの傘下となり勢いをつけたNOAHだが、一時は窮地だった。その間もザ・リーヴは一途にNOAHでCMを作り続けたのだから、やはりありがたいスポンサーだ。ザ・リーヴのスポンサードがなかったら、NOAHは潰れていた可能性さえある。プロレス界をサポートする企業としては、ブシロードとツートップと言えるか?
ちなみに、ザ・リーヴは不動産の仲介・管理を行う会社。創業は1995年で、従業員は162名。年商は約100億円だ。もちろん、始めから好調だったわけではない。なのに、三沢を起用したCMが最初に放送されたのは2005年だった。今より遥かに売り上げが低かった頃から、NOAHでCMを作っていたのだ。
実は、佐藤社長は三沢ファンでもNOAHファンでもなかった。幼少期からの新日本プロレスファンであり、アントニオ猪木信者。だから、当初は新日のレスラーでCMを作るつもりだったらしい。しかし、1つ問題が。発毛でおなじみ「リーブ21」が、先に新日の中継『ワールドプロレスリング』(テレビ朝日系)でCMを打っていたのだ。「ザ・リーヴ」と「リーブ21」は別会社で、両者は無関係。しかも、「ザ・リーヴ」の正式名称は「(株)リーヴライフ トゥエンティーワン」、つまり「リーヴ21」である。奇跡的に下2ケタまで一致するという偶然と悲劇だ。
企業名はモロ被りしているし、先に新日中継でCMを打たれているし、さすがに新日でCMを制作するわけにはいかない。佐藤社長は友人であるザ・グレート・カブキの仲介でNOAHと接触し、NOAHの所属選手でCMを作ろうと方向転換した。これ、よく考えるとサラッと流せないエピソードである。新日の選手でCM制作を目指す → NOAHのスポンサードに変更、の流れはなにげにプロレスの歴史に大きく関与している。猪木信者だったのにずっとNOAHをスポンサードし続けているのも義理堅い。ちなみに、同社が管理するTwitterアカウント「ザ・リーヴP軍団」(@the_leave_p)は、「全日本には声をかけたんですか?」というファンからの問いに「(^^)おかけしていなかった」と返答している。NOAHとの関係構築は、まさに導かれていたのかもしれない。
三沢光晴の歌が視聴者に勘違いを起こす
「CMとしては意味わからへんやんか」とさんまが指摘したように、ザ・リーヴのCMには内容がほとんどない。完全にインパクト勝負だ。
同社のCMで監督を務めるのは佐藤社長自身である。企業のトップ自らCM制作で指揮を執るスタイルは、ハズキルーペと同じだ。その結果、リーヴにはクレームが多数寄せられてしまった。2006年に放送されたCM「ムード歌謡編」は、マイクを持つ三沢がミラーボールの下で熱唱する内容だった。三沢が歌ったのはこんな歌詞だ。
「空室(あきしつ)で困ったら~ 任せてください~
アパート・マンション、満室経営~ ザ・リーヴ~」
このCMを見たさんまは、「空室(あきしつ)で困ったら」の歌詞を「空き巣で困ったら」と聞き間違えた。筆者にもそう聞こえた。当然、同じ聞き間違いをする視聴者が数多く生まれ、主に年配の女性たちから「空き巣で困ってるんです」と問い合わせが多数寄せられてしまったのだ。空き巣で困っているならリーヴではなく警察や警備会社に相談すべきだが、CMがCMだっただけに仕方がない。
なぜ、こんな珍事件が起きたのか? まず、CM撮影当日に三沢が大遅刻をしている。朝7時半集合なのに10時になっても到着せず、やっと来たかと思えば声はガラガラ。「朝6時までカラオケやってた」と三沢は言い放ったらしい(余談だが、三沢のカラオケの十八番はアニメ『新造人間キャシャーン』OPテーマ)。声がガラガラだから、滑舌はより聞き取りづらくなる。
そんな最悪のコンディションに加え、佐藤社長のディレクションもまずかった。本来なら、「空室(あきしつ)」ではなく「空室(くうしつ)」と読ませるのが正解のはず。「あき」の響きを取るなら、「空室(あきしつ)」ではなく「空き部屋(あきべや)」である。
「それを私が間違えて、『空室(あきしつ)』っていうふうに言っちゃったんです」(佐藤社長)
「空き部屋(あきべや)」と「空室(くうしつ)」を混同した佐藤社長が「空室(あきしつ)」と指示を出し、それを受けた三沢が間違った読み方のまま最悪のコンディションで歌唱、視聴者がそれを「空き巣」と聞き間違えてしまうという、すべてが失敗の救いのない伝言ゲームが起きたのだ。ボタンの掛け違いが二重、三重で連なった奇跡だ。
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