『ガンパウダー・ミルクシェイク』血しぶきマシマシ甘さひかえめな魅力
#アクション
「変化球」な女性たちによるアクション映画に
ナヴォット・パプシャド監督は「脚本に特定のメッセージを込めたつもりはない」と発言してはいるが、本作は何しろ殺し屋の女性たちの戦いと関係性を描いた映画であるので、フェミニズム的なテーマを受け取ることもできるだろう。
劇中には女性の自立を描いた古典的名作「若草物語」の本もちらりと映るし、そちらにオマージュを捧げたと思しきシーンもあったりもする。終盤に「フェミニストであることを自称する」人物がいるのも、そうした「仕草をするだけで言動がともなっていない」ことへの批判なのかもしれない。
何より、本作は娯楽性の高いジャンルムービーで、思い切り「カッコいい女性たち」をぶっちぎった表現で描いてくれた作品でもある。少し前に公開されていた『355』が「直球」で女性のスパイアクション映画をやり切った内容であるなら、『ガンパウダー・ミルクシェイク』は予想の斜め上の驚きを与える展開の数々も含め、「変化球」な女性たちによるアクション映画の快作だ。
『355』も『ガンパウダー・ミルクシェイク』も、「女性たちがカッコいいアクション映画って最高じゃないか!」という、ある意味では作り手の無邪気さが炸裂した内容とも言えるだろう。女性への抑圧や搾取を重いトーンで描いて問題提起をしたり、実際の事件を扱う社会派の作品ももちろん良いが、こういうジャンルムービーで女性を描く作品も、やはり今の世には必要だと思うのだ。ぜひ、作り手と同じく無邪気に、でも時には心底ハラハラしながら、楽しんでいただきたい。
『ガンパウダー・ミルクシェイク』
3月18日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督・脚本:ナヴォット・パプシャド
出演:カレン・ギラン、レナ・ヘディ、カーラ・グギーノ、ミシェル・ヨー、アンジェラ・バセット、ポール・ジアマッティ
2021年|仏・独・米合作|英語|カラー|スコープサイズ|DCP|114分|PG12
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ
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