ななまがり「芸歴がちゃんと力になってる」、裏路地からメインストリートに進入中
#ななまがり
漫才の入りに「はいどうも~」が必要な理由
――最近は漫才にも力入れているとか。
森下 そうですね。コントをたくさんやった末、漫才もやりだしました。今までは恥ずくてしょうがなかったのが、ようやく普通に喋れるようになってきたので。
――コント中心の芸人さんって、よく「漫才は恥ずかしい」と言いますよね。
初瀬 入りの喋りを乗り越えたいと思ってますね……。最初、普通に喋ってコントインするまでが辛抱という時期がありました。
森下 僕は最初の「はいどうも~。俺、こういうことやりたいんだけど」さえ言えなくて、導入の第一声からキャラに入りきって(ヘンな声で)「ななまがりです」「うるさい、おまえごときに動物園なんてもったいない」と胸を張って目をひん剥いてマイクの前に立つみたいな。最初からボケるみたいな状態で、もしかするとマヂラブさんに近いのかもしれません。でも最近、「どうも~。よろしくお願いしま~す」みたいな入り方ができるようになりました。
――そっちのほうがウケるんですか?
森下 ウケるというより、幅が広くなりますね。最初普通に入ることで「芸でやってるんだ」と安心感を持って見てくれる。最初からぶっとんだことやると、僕らを知らん人は本当にヤバイ人だと思って、「怖い……」と受け入れてくれないんですよ。
初瀬 ただ、森下のややこしいところは、普通に入って、芸でヤバいと見せておいて、ほんまにヤバいヤツなんですよね。
森下 このネタは面白いけど、いろんなお客さんが見に来る寄席だとお客さんに「?」となるからやめておこうとか、分別がつくようになりました。でも今まで一本のネタを回していた寄席でも、最近、意外とウケるネタが見つかったり、新ネタもウケるようになったりして。
初瀬 経験値で、わかりやすいネタが自然とできるようになった。
森下 僕らって昔からお笑い好きにはわかってもらえるので、賞レースの予選のウケは強かったんですよ。だけど、賞レースの決勝はテレビで流れるし、観覧には普通のお客さんも来るじゃないですか。だから、お笑い好きの前でもウケて、寄席でもウケるネタが優勝するネタだろうなとは思っていて、そこに近づいてきた気がしますね。
2000枚売れてもおかしくないほど面白かった企画ライブ
――今、たくさんライブに出ているななまがりさんが、お薦めのライブあります?
初瀬 幕張の劇場に関しては、大宮セブンをつくったプロデューサーXさんが支配人にいまして、面白いライブ考えてるんです。それと作家のスマイルメロディーさん、ヒガシヤマさん、この3巨頭で幕張のライブを手がけてますね。
森下 どれ見たらいいかは……うわー、めっちゃ難しいです。全部オモロいんで。
初瀬 どれですかね~。
森下 またあるかは分からないんですけど、こないだ相席スタートとやった『ネタ入れ替えてみた』はとんでもなく面白かったです。僕らのネタを相席がやるんですよ。ケイちゃんがムーをやったり、平場でケイちゃんに無茶ぶりして、架空芸能人やキモお姉さんもやってもらったりして。
――それは見たいですね!
森下 あれはチケットが2000枚売れてもおかしくない内容でした。でも、会場のお客さんが8人で、オンラインチケットも最初10枚20枚ぐらいしか売れてませんでしたけど。
初瀬 『呪い』シリーズもいいですね。『全員ヤンキーになる呪い』『全員ホストになる呪い』……お笑いファンはどの公演見てもオモロいと思います。地獄の空気が何回もあるんですよ。
森下 『Dr.ハインリッヒ以外、全員女芸人になる呪い』があって、ネタやってコーナーやって、MCも女芸人を演じるから誰もツッコミがいないんですよ。本当にシュールな状態で、あの回は特にやばかったですね。無観客だったのに、スベっているのがわかりました。『呪い』は相当な無茶ぶりされるんで、僕らとかGAGさんとか、ほかのライブではそれなりに安定している芸人が全員汗かいてアワアワする姿が見られます。
初瀬 お客さん置いてきぼりにしても、とにかくなんかオモロいことしないといけない感じで、芸人が芸人を笑かす『ドキュメンタル』みたいになってます。正直、幕張・大宮界隈の芸人は、お客さん笑かすために言ったことでは笑わなくなってますね。「あー、今のお客さん笑かしにいったな」と思われると急に醒められる。
――お客さんを笑わせる仕事じゃないですか。
初瀬 そうなんです。∞ホールだったら、お客さんの笑い取りに行くんですよ。それがお客さん笑かしつつ芸人も笑わせる、全員と勝負している状態になってます。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事