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『しゃべくり007』に初ゲスト出演、邪道を極め作り上げた”キングコング的王道”

芸人としては邪道を選び大成功

 キングコングが2人で会話をするYouTubeの番組を見たときに話していたのだが、西野さんは「いずれテレビから視聴者は離れ、サブスクの時代になる」と予感していたそうだ。そうなったときの為にテレビ以外で活躍できる場所を探しつづけ、今のハイパークリエーターという位置に辿り着いたのだ。西野さんはお笑い以外の場所でエンターテイメントをやりながら、お笑い芸人としてテレビへの出演もする。かなり器用になんでもこなす。その半面梶原さんは不器用で、レギュラー番組が減り、先細りになっていく芸人としての未来に行き詰まりを感じていたそうだ。ならばと「芸人引退」をかけてYouTubeへ進出し、見事成功を収めた。

 2人とも形は違えどお笑い芸人の王道から外れ、邪道と言われる道を歩んだが、そのお陰で今がある。そして今回『しゃべくり007』にゲストとして出演した。

 絵本の世界に進んだ当時、西野さんは正直芸人から「絵本なんて」とバカにされていたと思う。そしてYouTubeの世界へ進出した梶原さんも「一般人がやることを」と呆れられていたはず。しかし2人とも諦めることなくその道を進み当時、バカにされていたものをひとつの「芸」として身に着けたのだ。

「芸人」にとっての「芸」はまさに「武器」と呼べる。西野さんは数多くの武器を手にし、梶原さんは大きな武器をひとつ手に入れた。その結果が「しゃべくり007」でのゲスト出演に繋がったのだ。今回の放送を見てキングコング”面白くなったじゃん”と思った人がいるかもしれないが、それは違う。”面白くなった”のではなく”元々の面白さ”を表現する場を与えられただけだ。実力がある芸人はたくさんいる。ただ、その面白さを発揮する場所を与えられるというのが、本当に難しい事なのだ。

 これはなにも芸人に限ったことではない。皆さんの仕事においてもそうなのだ。当時の梶原さんのように自分の未来に行き詰まりを感じて悩んでいる人や、西野さんのようにいずれ来る時代の変化を敏感に感じてしまい不安になっている人がいるかもしれない。

 そうならば、キングコングのように本業以外の武器を見つけるのもひとつの手だ。少しずつ自粛ムードが減っているとは言ってもまだまだ、家で過ごす時間は多い。その空いた時間に自分の得意分野を極めるのはまさに、今の時代にあった方法と言えるだろう。そしていずれやってくる自分を表現する場所を与えられたときにその武器を発揮すればいいのだ。

 21年かけて邪道を極めたキングコングがつくった”キングコング的王道”は新たな道筋になった。新しい道への挑戦は正直怖い。だが誰かが成功した道なら乗らない手はない。

 案ずるより産むがやすしだ。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2022/03/18 13:00
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