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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 『ゴシップ』10話「集英社がサイバーエージェントに吸収合併される」レベルの急展開、今夜最終回!
ネットニュース編集者・中川淳一郎が総ツッコミレビュー!#9

『ゴシップ』10話「集英社がサイバーエージェントに吸収合併される」レベルの急展開、今夜最終回!

「影響力を持つ、信頼されるに値する強いサイトになれ」なんてド生ぬるい!

「カンフルNEWSは世間に注目されるようになった。次に達成すべきことは、影響力を持つ、信頼されるに値する強いサイトになること」
 
 いや、ニュースサイトの現場はこんな悠長なことを言っている状況ではない。「50万PVを5000万PVにしろ」という指令を達成したからといって、これは呑気である。もしもオレが仁和のような担当役員だったらこう言う。

「お前、雑誌の売り上げが落ちまくっているから、そこを完全に補填し、そして連載原稿を敏腕書籍編集者に渡して10万部は売るぐらいのスマッシュヒットを同時に生み出す手伝いをしろ、この野郎! そして、週刊カンフルが自由に取材をし、単体では赤字でもいいが、全体で黒字化するべく後方支援の役割、頼むぞ!」

 再三、本作についてホメてきたものの、現場をやっている人間からすれば、かなり実態と乖離しているとしか言えないのだ。そこの現実性を少しチューニングすればもっと視聴率は上がったのでは、とも思う。そして、最後に恒例のタイトルチェックを。

〈『永鳥新人文学賞』対象の安藤トモ“出来レース”疑惑 事務所からの賄賂を選考委員長が認める〉

 これは毎度言っているが、「安藤トモ」こそがもっとも記事の訴求力が強い言葉なのである。「永鳥新人文学賞」もすごいのかもしれないが、「新人」という時点で、直木賞・芥川賞のレベルではない。新人については講談社の「群像新人文学賞」が最高峰だと思うが、これはさすがにネットニュースの見出しの頭には入らない。となればこうすべきである。

〈安藤トモ、賄賂ゴリ押し事務所パワー発揮 新人文学賞受賞を選考委員長が認める〉

 である。そして次はコレだ。

〈クスノキ出版、インターネオに売却決定 インターネオを存続会社としてクスノキ出版を吸収合併〉

「クスノキ出版」が講談社・小学館・集英社レベルであり、インターネオというIT企業がサイバーエージェントレベルであると仮定した場合のタイトルである。

〈クスノキ出版、インターネオ傘下に ネット発信力強化とコンテンツ制作能力向上の相乗効果で収益向上目指す〉

 この件についての最大のニュースバリューは「紙を中心としたコンテンツを作る能力のある大手出版社が完全にネットに舵を切った」である。

 なんで制作陣はこの話題になった時にこの程度のタイトルを付けられないのだ。せめて最終回は、オレからダメ出しされないタイトルを付けろ。

中川 淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)

1973年立川市出身。1997年博報堂入社、2001年無職になりフリーライターになり、雑誌『テレビブロス』のフリー編集者に同年末になる。2006年からネットニュースの仕事を開始。毎月800本ほどの記事を編集する人生に疲れ、2020年8月31日にセミリタイアし、佐賀県唐津市へ。著書は『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『炎上するバカさせるバカ 負のネット炎上史』(小学館新書)等。

Twitter:@unkotaberuno

なかがわじゅんいちろう

最終更新:2022/03/23 03:00
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