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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『グッバイ、ドン・グリーズ!』の疾走感

庄村聡泰(ex-[Alexandros])『グッバイ、ドン・グリーズ!』の疾走感と「Rock The World」で泣きたくなるほどに強くなる

庄村聡泰(ex-[Alexandros])、『グッバイ、ドン・グリーズ!』の疾走感と「Rock The World」で泣きたくなるほどに強くなるの画像1
Alexandros 公式サイトより

 去る2022年2月16日、[Alexandros]のニューシングル「Rock The World」が発売。

 それに先んじて公開されたMVにて、筆者は#サトヤスタイリングと題した自身のスタイリスト活動として一部、衣装を担当(デーでハーのヤツ)。

 そして2022年2月18日、当曲が主題歌として起用された映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』が公開。

 映画館にて予告編も何度か観ており、内容が俺の大好きな所謂ジュブナイル物、そして豪華声優陣の出演、制作は日本アニメーション界老舗中の老舗であるマッドハウス(個人的には今敏監督の諸作品にて喰らった世代であり『幻魔大戦』や『妖獣都市』なんかも観ております)主題歌は[Alexandros]、MVの一部に俺はスタイリストとして参加。

 こんだけ出揃っている訳である。麻雀で言うなれば既に倍満以上は固い役数つう事でこれは観ん訳にゃあいかんだろうと腹を据える。

 しかしもう少し頑張れば三倍満、いや、更に頑張れば数え役満まで伸ばせる手なのではなかろうかと画策、記事化をサイゾー編集長へ直談判。

 許可を頂き、仕事として成立させる事に成功。

 2022年3月10日、TOHOシネマズ新宿にて観賞。

 以上が当記事に於けるタイムライン、並びに鑑賞へと至ったタイムラインである。つくづく前置きの長い事である。さーせん。

 学内ヒエラルキーの最下層をひた走る農家出身の主人公ロウマとガリ勉系男子の親友トト。日々を共に過ごしてきた2人はいつしか自らのコンビを”ドン・グリーズ”と名付ける。

 中学卒業を機に東京へと進学したトトと久し振りの再開を果たす高校1年生の夏休み、ドン・グリーズに新たに加わったアイスランド出身のドロップからの提言で導入したドローンを巡って、一夏の騒動と冒険が始まる。

 的なストーリーであるのだが、言うなればメインとして描かれるのはそちらにかこつけた自分探しの旅であり、劇中でドロップが度々発言する”宝探し”。その”宝”の定義と3人それぞれの”宝”に向かって山道や大空にかこつけた思春期や人生、或いは思春期や人生にかこつけた山道や大空をひた走って行く青春モノであった。

 明確な夢や自身への自信のなさから、初恋すら認める事が出来ないロウマ。暮らす田舎町から広い外界への憧れを強く抱いてはいるものの(ほうれん草にユグドラシルは所謂夢見がちな厨二病っぽくて実に良いなあと思いました笑)、上述の自己肯定感の欠落、また、そんな自分とは違い明確な”医師”と言う夢を持つ親友トトの東京進学もあり、より一層夢や自信が持てなくなってしまった。そんな症状を筆者は”どうせ僕(私)なんて病”と呼ぶ事にしている。

 一方医師を志し東京へ進学。原宿の美容院で髪型を整えたりと都会に染まってみたりはするものの、進学先の学業レベルの高さに心をすっかり折られてしまっていたトト。名言はないものの親からの進言、敷かれたレールから外れまいと必死ではあるのだが、そんな自分に疑問も感じている。こちらも一種の”どうせ僕(私)なんて病”だと言えるだろう。自身の現状、心情をロウマだけには見せまいとひた隠すのであるが……。

 ドン・グリーズの新メンバーであるドロップ。アイスランドから宝物を探しにやってきたと言う彼は年下ながら人生観において達観しており、”どうせ僕(私)なんて病”ど真ん中の2人をその人生観で時に掻き乱し、時に諭して行く。そしてそんな自身は2人とは違う意味で、またよりシリアスな意味で”どうせ僕(私)なんて病”のど真ん中であるもののそちらを自覚し、受け入れており、だからこそ生き急ぐかの様に、また、あたかも自分の人生が既に残り少なくなっているかの様に、宝探しに奔走する。

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