『SING/シング:ネクストステージ』“アニメ映画戦国時代”に、豪華スターの共演というオリジナリティを導き出した!
#映画 #SING/シング: ネクストステージ
スティーヴ・ジョブズがアニメ産業の未来を予想してCGアニメ映画『トイ・ストーリー』を制作したのが90年代後半。それから約30年が経った今、フルCGというだけで物めずらしくてヒットするという時代は、とっくに終わっている。
ディズニー、ドリームワークス、ワーナー、ソニー、そしてイルミネーション……。アメリカのアニメ映画業界は、もはやレッドオーシャン状態だ。動物、乗り物、モンスター、ファンタジー、1周回って現実世界と、ネタは使い果たしてしまっている状況である。ローテーションを繰り返しながら、試行錯誤の連続。負のサイクルに陥ってしまうこともしばしば……。
過去にも、米映画・製作会社のドリームワークスがオリジナリティに苦しんだあげく、迷走期に入ってしまったこともある。ドリームワークスは、もともとディズニーのスタッフが枝分かれしてアニメ部門が設立された企業だ。
同社の当初のコンセプトは、子どもをターゲットにしたディズニーに反発するかたちで、ブラック・ユーモアやマニアックなネタを盛り込み、大人も楽しめる作品を目指したものだった。
『シュレック』(2001)や『シャークテイル』(04)など、しばらくは順調だったが、ディズニーも同じように大人もターゲットにした作品を制作し始めたことで強みが薄れてしまい、『ターボ』(2013)、『天才犬ピーボ博士のタイムトラベル』(14)、『スーパーヒーロー・パンツマン』(16)と、逆に極端なほどに子ども向け作品に走ってしまったのだ。
同社はその後、『トロールズ』(16)と『ボス・ベイビー』(17)で巻き返しを見せたが、どこのアニメ製作会社も、オリジナリティについて常に悩み苦しんでいることに間違いない。
それは、『SING/シング:ネクストステージ』の製作会社・イルミネーションも例外ではない。『スーパーマリオ』の映画化も決まって好調とも思える同社だが、もともとは絵本作家ドクター・スースへのリスペクトが強いのが特徴だった。当初はドクター・スースの作品を多く製作する予定だったものの、実際に今のイルミネーションを支えているのは、はっきり言って「ミニオン」の存在である。
『怪盗グルーの月泥棒』(10)から飛び出した、ミニオンというキャラクターの爆発的人気とフランチャイズ力に頼っていたのだ。そのミニオン人気に続く代表作がほしいと願っていたときに誕生したのが、『SING/シング』(16)である。
そして、その続編となる『SING/シング:ネクストステージ』が、3月18日から公開される。同作を紹介しながら、なぜ『SING/シング』がヒットに至ったのか、そしてなぜ“英語音声で観るべきなのか”を説明していきたい。
【ストーリー】
コアラの支配人バスターが経営するニュー・ムーン劇場は、今夜もチケットは完売。ブタのロジータとグンター、ゴリラのジョニー、ゾウのミーナも絶好調。しかしバスターには、エンターテイメントの本場でショーを開いて成功させたいという夢があった。その夢を叶えるきっかけが転がり込む。なんとエンターテイメントの聖地レッドショア・シティにあるクリスタル・タワー劇場のスカウトウーマン、スーキーがショーを観に来たのだ。 満足いくステージを見せることができたと思っていたバスターだが、スーキーは「三流のステージ」と言い放ち、途中で帰ってしまう。それでも諦め切れないバスターは、仲間を引き連れてクリスタル・タワー劇場のオーディションに強行突破で潜り込むのだが……。
※次のページからネタバレを含みます!
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