『ザ・バットマン』名探偵ヒーローを描くサスペンスアクションの傑作
#ザ・バットマン
合わせて観てほしいバットマン映画
最初に掲げた通り『ザ・バットマン』は予備知識ゼロでも楽しめる作品だが、本作の前でも後でもいいので、合わせて観てみるのにおすすめのバットマン映画がある。それは『バットマン フォーエヴァー』(95)だ。何しろ、こちらでもメインの悪役となるのはリドラーで、同じくなぞなぞを出してバットマンを翻弄していく。その他にも、この2作はいろいろと(詳細は双方のネタバレになるので控えておくが)共通項や、はたまた明確な違いも多いのだ。
ただ、『バットマン フォーエヴァー』は作品としては上等なものとは言い難い。人死にが多く本質的には暗く重い話のはずなのに、全体的なトーンはコミカルでファミリー向けっぽい雰囲気があって、個人的にはどうにもチグハグな印象があった。ただ、それも含めて魅力だと思えば大いに楽しめるだろうし、オープニングでの大掛かりなギミック、ネオンのように輝く画の数々、ジム・キャリーが本当に楽しそうにリドラーを怪演している様などは、一見の価値がある。
今回の『ザ・バットマン』の最大の美点は、子どものようななぞなぞを出していく、やり方次第ではギャグにもできてしまいそうなリドラーを、前述したように最狂の知能犯として良い意味で醜悪に、かつ『セブン』的なリアルさをもって描いたからこそではないだろうか。そちらと本質的な違いがある『バットマン フォーエヴァー』のリドラーのハッチャけた感じもそれはそれで面白いので、ぜひ見比べてみてほしいのだ。
ちなみに、今回の『ザ・バットマン』も、ただ重く苦しいだけでなく、思わず笑ってしまうユーモアもある。特に、とある大規模なアクションを経た後の、悪役のペンギンからの真っ当な「ツッコミ」には吹き出してしまう方も多いのではないか。それも含めて楽しんでほしい。
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
2022年3月11日全国公開
監督:マット・リーヴス
脚本:マット・リーヴス、ピーター・クレイグ
音楽:マイケル・ジアッチーノ
撮影:グレイグ・フレイザー
編集:ウィリアム・ホイ
キャスト:ロバート・パティンソン、 ゾーイ・クラヴィッツ、 ポール・ダノ、ジェフリー・ライト、ジョン・タートゥーロ、ピーター・サースガード、ジェイミー・ローソン、アンディ・サーキス、コリン・ファレル
配給:ワーナー・ブラザース映画
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