「筋トレのやりすぎは健康に逆効果」研究結果を東北大ほかチームが発表
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「筋トレのやりすぎは健康に逆効果」
新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が長くなり、運動不足の解消から自宅で筋トレに励む人も増加している。しかし、筋トレは「やりすぎるとかえって 心血管疾患やがん、死亡に対する健康効果が得られなく」という研究結果が発表された。
東北大学、早稲田大学、九州大学の研究チームは2月25日、筋力トレーニングと疾病・死亡との関連を検討した追跡研究を網羅的に収集し、それらの結果を統合解析した研究結果を発表した。
ムキムキを目指すだけが筋トレではない。 筋トレで死亡・疾病リスクが減少 週30~60分を目安に| プレスリリース・研究成果 | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-
発表によると、研究チームは18歳以上の成人を対象に筋トレと疾病および死亡との関連を長期的に検討した研究1252件について、系統的で明示的な方法を用いて適切な研究を同定、選択、評価を行った。
さらに、すべての論文を精査し、信頼でき、かつ、分析可能な研究16件を抽出した。これをもとに、過去に行われた複数の研究結果を統合し、より信頼性の高い結果を求める統計手法により、筋トレ実施の有無および実施時間と疾病および死亡リスクの関連を検討した。
分析対象となった疾患は、心血管疾患9件、がん7件、糖尿病5件、部位別のがん=肺がん、膵臓がん、結腸がん、膀胱がん、腎臓がんがそれぞれ2件、さらに、死因を問わない死亡(総死亡)8件。
その結果、筋トレを全く実施していない群と比較して、筋トレを実施している群の総死亡および心血管疾患、がん、糖尿病のリスクはウォーキングやランニングなどの有酸素性の身体活動の影響を考慮しても、10~17%低いことが明らかになった。
さらに、筋トレの実施時間の影響を確認したところ、総死亡、心血管疾患、がんでは週30~60分の実施で約10~20%のリスクが減少し、最もリスクが低くなった一方、週130~140 分を超えてくると筋トレの好影響は消失し、むしろリスクが高くなることが判明した。ただし、糖尿病については、実施時間が長ければ長いほどリスクが低い結果となった。
具体的には、総死亡ではリスクが最少となる筋トレ時間は週に約40分で、リスクが高くなる転換点は週に約140分、心血管疾患ではリスクが最少になるのは週に約60分、転換点は週に約130分、がん発症ではリスク最少は週約30分、転換点は週約130分。
ただ、糖尿病では週約60分までリスクが急激に減少、その後、減少は緩やかになっていくものの、リスクが高くなる転換点に向かうことはなく、リスク低下が継続するため、糖尿病の場合は実施時間が長ければ長いだけリスクは低くなる。
健康の維持増進を目的に筋トレの実施が国際的に推奨され、WHO(世界保健機関)からは「身体活動・座位行動ガイドライン」が公表され、厚生労働省からも「健康づくりのための身体活動基準 2013」が公表されている。
身体活動基準では、「肥満の有無を問わず、骨格筋量が減少することは、耐糖能異常や糖尿病に進展するリスクを高める。したがって、非肥満者についても、骨格筋を強化し筋量を増加させる筋力トレーニングによって、このリスクを低減できる可能性がある」と筋トレを推奨している。
研究チームでは、「研究結果はこれらの健康づくりのための運動推奨を支持するとともに、筋トレの長期的な健康効果を示す一方で、やりすぎるとかえって健康効果が得られなくなってしまう可能性を示唆する重要な知見であり、新たに筋トレの実施を推奨する根拠となる重要な根拠の一つとなることが期待できる」とコメントしている。
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