少女性的虐待の元大富豪エプスタインの共犯者「なぜ彼女はこんな犯罪に加担した?」
#しばりやトーマス #世界は映画を見ていれば大体わかる
アメリカ・フロリダ州の南部に位置するパームビーチは一年を通して気候は温暖で、富裕層が多く暮らすリゾート地として知られている。
2005年、パームビーチ警察に一件の通報が入る。未成年の娘が300ドルの金を持っていたのでどうしたのかと聞いたら、街に住む金持ちの家で如何わしいアルバイトをしてもらったというので、調べてほしいという娘の父親からのものだった。
「その金持ちの家っていうのは?」「ジェフリー・エプスタインの家だよ」
エプスタインは高校教師から富豪にまで上り詰めた人物だが、黒い噂が絶えなかった。パームビーチの邸宅には何人もの男女が出入りし、そこで売春、買春が行われているのではと。通報から捜査が始まりエプスタインは逮捕。未成年の少女たちを「高額なアルバイト」で勧誘して、邸宅で淫らな行為をさせるという犯行の手口が明かになり、その犯罪にはひとりの女性が共犯者として存在していた。
U-NEXTで配信開始された『ギレーヌ・マックスウェル -性犯罪者エプスタインに加担した女-』は、エプスタインの共犯者であり公私にわたるカップルとして知られているギレーヌ・マックスウェルの半生を追ったドキュメント。エプスタインの事件はゴシップ・メディアから格好の餌として番組があちこちで作られ、NetFlixにも『ジェフリー・エプスタイン: 権力と背徳の億万長者』という傑作ドキュメントがあるが、こちらは共犯者のマックスウェルの関与が如何なるものだったのか詳細に語られている。
富豪エプスタインの犯行は以下のような形で行われる。
パームビーチにある学校や公園の周辺をマックスウェルがうろつき、目星をつけた少女に彼女が声をかけ、アルバイトをもちかける。邸宅にやってきた少女にエプスタインがマッサージを要求し、エスカレートするといった具合だ。他にも友達を紹介して、といってやってきた少女にも同様のことをして犯行のネットワークが広がっていく。犠牲になった少女たちは多額の金銭と友達を売ってしまった罪悪感から口を閉ざしてしまう。
エプスタインの影にマックスウェルあり。なぜ彼女はこんな犯罪に加担していたのか?
ギレーヌ・マックスウェルはイギリスの実業家、ロバート・マックスウェルの末子として1961年に生まれた。ロバートはユダヤ系でナチスのホロコーストによって家族のほとんどを失ったが、イギリスに難民として逃れ40代で実業家として大成功、イギリス内で巨大なメディア・コングロマリットを築き、「ルパート・マードックのライバル」として名を馳せる。
ロバートは家族も職場と同じように「運営」した。幼い息子たちに試練を与え、答えられなければ圧をかけ、他人の前でも叱咤し罵倒する。母親は子供を守らず、夫のなすことを黙って観ていた。支配的な父親におとなしく付き添う母親の姿を刷り込まれたギレーヌが後の彼女に影響を与えたことはいうまでもない。
父親によって社交界に引っ張り出されたギレーヌは「現代の市民ケーン」と言われ影響力をもちながらも悪評が絶えなかった父とは正反対で、生き生きとして光り輝いていた彼女は社交界では人気だった。誰でも彼でもディナーに誘って父親の話ばかりした。「ロバート・マックスウェルの生きる広告塔」だ。
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