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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 『ゴシップ』週刊誌のスクープはむしろ“損”?
ネットニュース編集者・中川淳一郎が総ツッコミレビュー!#8

『ゴシップ』9話 週刊誌のスクープはむしろ“マイナス”? 出版社の大いなるパラドックス

『ゴシップ』9話 週刊誌のスクープはむしろマイナス? 出版社の大いなるパラドックスの画像1
『ゴシップ #彼女が知りたい本当の〇〇』(フジテレビ系)

 すっかり「探偵編集部」のような状況になっている、ニュースサイト「カンフルNEWS」。その編集長・瀬古凛々子を黒木華が演じる連ドラ『ゴシップ #彼女が知りたい本当の〇〇』(フジテレビ系)第9話が、3月3日に放送された。毎度、「そこまで取材対象者に寄り添って探偵的動きをする編集部なんてないだろうよ……」と思うものの、面白いドラマではあるし、レギュラー登場人物一人ひとりへの親近感も毎回増してくる展開はナイスである。

※前回のレビューはこちら!







「そんな大事なタイミングで、記事を出したくない!」

 今回は、人気小説家・草川敦と、作家志望女性の心を弄ぶ編集者・川端心平にまつわるストーリーである。毎度思うのだが、カンフルNEWS編集部は、そこまでPVを取れないであろう「占い師」「作家」「編集者」みたいな人間を徹底的になぜ追及するのだろうか。結局PVが取れるのは、芸能人とスポーツ選手なのである。そこらへんの設定が甘いし、むしろ張り込み取材や裏付け取材をするにあたっては、芸能人とスポーツ選手の方がやりやすいのではなかろうか。

 なにしろ小説家も占い師も編集者も地味である。こうした点から、本業のオレからするとリアリティを感じられないのだが、まぁ、このような視点から一般の視聴者は見ていないのでよしとしよう。

 今回、新たな進展をしたのは、川端を追い詰めるにあたり、これまで凛々子をめぐり恋のライバルのようになっていた編集部員・根津道春(溝端淳平)と、契約カメラマン・笹目虎太郎(寛一郎)が一致団結したことである。

 残りは2話となったが、これにより、「一切恋愛関係にならない連ドラ」といった形になることも期待できるのでは。後半に入り、凛々子は人の感情を理解するようになってきたが、相変わらずの無表情スタイルは徹底している。ここまでくると「あと2話でどうやって根津か笹目、はたまた役員の丹羽と恋愛関係になるのだろうか……」という展開が、気になって仕方がないのである。

 そして、今回の演技で白眉だったのは書籍編集者・井伏を演じる津田寛治である。女性関係をめぐる疑惑が持たれた小説家・草川の担当をしている井伏だが、記事を出したいと考えるカンフルNEWS編集部に乗り込み、記事を出さないよう恫喝してくる。井伏は「会社の利益と、うちの利益を守るためだ! 担当編集はオレだ! そんな大事なタイミングで、出したくない」と凛々子に詰め寄る。

 そこから先、井伏は凛々子と共闘する展開になっていくのだが、この恫喝の仕方は本当にリアリティがあるのである。結局、週刊誌やそれをベースとしたニュースサイトは、書籍編集者との間では利害が一致しないことがあるのだ。

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