庄村聡泰(ex-[Alexandros])、ビーファの新曲「Bye-Good-Bye」の分厚過ぎる対比構造に”スッキリ”
#BEFIRST #ショウムライター
先ず以て声を上げて言いてえのはバラードじゃねえ。
何の話かって?
BE:FIRSTの話である。ビーファの新曲の話である。CDシングルとしてのリリース日は2022年5月18日を予定しているとの事であるが、そちらの表題曲「Bye-Good-Bye」が去る2022年3月7日に先行配信として届けられたのである。
この時期の配信、となるとやはりどうしても想起させられてしまうのは卒業ソング。いやはや歌詞の内容も読み込めば読み込む程にと、どうしたって頭にチラついてしまう。
が、しかし、これがバラードじゃねえのがマジで超超超超すげえのである。まさか所謂”卒業ソング”、或いは”春は出会いと別れの季節ですねソング”(として聴いてしまっていますが個人の感想です)の定石を何とも鮮やかに、こんなにも軽快且つ清涼感溢れるポップな楽曲でもって、外してくる、だと……!?!?
爽やかな音色のシンセが春めかしく、サンプリング的なコーラスも含め音数は極力絞り込んだ上で構築されたであろうな上物には一種の物寂しさが香り(イントロのコード感なんか正にそう)、そしてそちらとの対比だろうか。温かみも感じさせつつ随分とファットな音色のシンセベース(サビでは上へ下へと滑る様にカウンターメロディを奏でたりラップパートではがっしりルートを支えたりとでマジでマジでの大活躍)とこれまた随分とズンズン響いてくるキック(この辺はイヤホンやヘッドホンで聴くとより分かりやすいと思います)からは曲中繰り返される”止まんない”、”止まってらんない”、”止めらんない”、と、時間や物事の訪れ、或いは経過への抵抗より前進して行く事に対する力強い意志の表れが香る。
そしてそんな曲に乗るのは字面そのままに取れば”エモい”とも言える歌詞と、ひょっとしてこれも対比なのだろうか。そんな感情と距離を取るかの様にソフト気味な歌唱だ。この歌い方、特に伸びやかなファルセットを活かした2段構成のサビはめちゃくちゃに、いや、はちゃめちゃにテクニカル(場面展開の契機となる”さよならはスタートライン そうさ”の箇所なんかこれたまんないすよね)なもんで間もなく齢38を迎えるおっさんはもう、驚嘆の一言である。
基本の歌い方が柔らかだからなのだろうか、またその対比として随所に放り込まれる力強い歌唱パートが絶妙なスパイスとして際立ってくる。ここで特筆しておきたいのはBメロの”All eyes on us! Baby”とラップの”ほら次は君の番だぜ”と”ありがとう”のドヤり(笑)と2Aの”気をつけなきゃね”の”な”のちょいがなり。めちゃくちゃ効いとるしカッコいいなオイなもんで間もなく齢38を迎えるおっさんはも(以下略)。
そんなパブリックイメージに於ける卒業ソングの定石と実際の曲調との対比。
上物と低域による音の対比。
歌詞と歌唱の対比。
歌唱の中の柔らかさと力強さの対比。
そして最後に記しておきたい、仮にこの曲を読み手の皆様も卒業ソングとして捉えたとすると3月である”今”はそう聴こえるだろうがシングルリリース日である5月18日以降に聴いてみると、どうだろう。
それは恐らく時間や物事の訪れ、そして経過を経た後の事であろうから、そこで聴き直すと気付く筈である。しっかりと自分が、3月の頃より確かに”前進”している事に。或いは、”前進”せんとする自分にこの曲がしっかりと寄り添ってくれている事に。
そうした時間、経過との対比すら描かんとしようとしているのではないだろうか。
もしそうだとしたらこれはオソロシく出来過ぎた話であり、その分厚過ぎる対比のレイヤーにおっさんはもう押し潰されてしまいそうだ。なのに聴き心地はあくまで”スッキリ”(←観ました)だからまた聴いちゃう。て、あああここも対比だあああああ。
以上、筆者の感じるこの曲の超超超超すげえ所でありました。
因みに冒頭に記した1文。
まーずもってーこえ(を)あげーてーいーいてえー(の)はー(バ)ラードじゃねえー♪
と、()の中を弱く、若しくはほぼ発音せず、その次の文字と繋げて1音で発音すると当曲のAメロとぴったり重なります。
お試しあれ。
サトヤスさんによるデビューシングル「Gifted.」レビューはこちら!
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