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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > SMA芸人たちと“芸人の墓場”の17年史

『激レアさん』SMA芸人たちのジャイアントキリングと“芸人の墓場”の17年史

“ミスターSONY”ハリウッドザコシショウがボス

“コウメマネー”を得たSMAは、その大金で常設劇場「BeachV」を開設した。場所は千川。かつて、SMAのあった市ヶ谷から地下鉄1本で行ける立地だ。この劇場でのルールは、「ライブは必ず新ネタ」「ランキングを付ける」だった。理想的なサイクルではないだろうか? 芸人の稼いだお金がきちんと回り、環境の整備や育成に投入される。いい事務所だ。

 そして、このBeachVにザコシが住みついた。ステージに布団を敷き、普通に寝泊まりする牢名主。座敷わらしじゃないんだから。住民票は一体どうしていたのだろう? 

「『BeachVっていう劇場を作るから、管理人じゃないけどうるせえ奴がいないとダメだ』って平井さんが言い出して、『お前どうだ? お前、芸歴が1番上だからピリッとするよ。住んだらどうだ?』つって」(平井さん)

 つまり、ザコシは平井さんからBeachVの管理人に指名されたのだ。ハリウッドザコシショウこそが、SMAの芸人部門のボス。音楽部門の奥田民生、俳優部門の石黒賢、タレント部門の徳光和夫と並ぶ存在と言える。しかも、昨年放送『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の「SONY芸人、SONY製品持ってないとは言わせない説」では、家電を軒並みSONYで揃えるほどの“SONY好き”と発覚した。彼は、ミスターSONYである。劇場に住み着くにはうってつけの存在だろう。そんなザコシも、今では都内一戸建てに住む双子のパパだ。

 しかし、BeachVには欠点もあった。同劇場、もともとは音楽のライブハウスで、そこを居抜きにして使い始めたらしい。つまり、客の笑いが吸音壁に吸い込まれてしまうのだ。結果、不安になった芸人の声量がドンドン爆音になり、大声芸人が増えるという不思議な効果がもたらされることに。だから、声がデカイ芸人ばかりなのだ。事実、『水ダウ』の「人を笑わせられる距離の限界 100m説」で声がダントツ大きかったのはザコシだった。このエピソードを知ると、以来、SMA芸人の声量だけで笑いそうになるから困りものである。

 ちなみに「BeachV」とは、Beach(渚)とVillage(村)から取った劇場名。フォークダンスDE成子坂を解散し、松丘慎吾とのコンビ「鼻エンジン」でSMAに所属した故・村田渚の名前が由来だ。もし、SMAの勢いを受けた村田が現在のお笑い界にいたらどうなっていただろう? なんて妄想を、ふとしてしまう。

テレビに不向きと言われていたバイきんぐ

 お笑い界が“賞レース時代”に突入すると、平井さんが期待を寄せたのはバイきんぐだった。当時、事務所ライブでは抜群の人気を誇っていた2人。しかし、奇抜なネタばかりでテレビには不向きと言われていた。どんなネタをやっていたのだろう? 番組は直接、バイきんぐに確認した。

小峠 「僕がコンビニ店員で西村が強盗で、『金出せ!』つって、その刃物が本物でした」
西村 「ちょっとオーバーだよ。本物の果物ナイフだから」
小峠 「どうでもいいじゃねえかよ、別に」

 冒頭でザコシが「強盗のネタで本物の刃物を使ってる奴がいた」と言っていたけど、お前らかよ! なんという伏線回収か。しかし、平井さんの尽力によりライブを重ねていくうちに次第に世の中にアジャスト。そして、半年後にバイきんぐは『キングオブコント』(TBS系)の準決勝に進出。2012年には、ついに優勝を果たした。

 世の中とのチューニングは大事という教訓である。ただ、バイきんぐのコントは基本的に今も奇抜なまま。小峠による名フレーズ「なんて日だ!」が飛び出すのは、娘がゴツい男に性転換して実家に帰省するというネタだった。このスレスレの設定で、2人は見事に『キングオブコント』を獲ったのだ。

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