毎日と朝日は“ラップ動画”の前に「現役世代の社会人」からカネを取れる新聞記事を出せ!
#朝日新聞 #毎日新聞
事件事故やスキャンダルに価値はない
――とはいえ、新聞には「大臣のクビを獲る」ようなスキャンダルを報じる役目も期待されていたのではないでしょうか。
確かに全国紙が報じる反権力ジャーナリズムの言説は、特定層向けのエンタメとして機能していて、SNSの話題として今も威力があるのは確かです。しかし、現役世代はそこにお金を払いません。
現役世代が求める情報は、例えば改正法案が国会に出たとき、政策的背景や立法意図などを、まずは政府の言い分を正確に分かりやすく整理したもの。さらに、それがビジネスの実務にどのような影響を与えうるか分析したものがあればベストです。批判はその後です。そういう情報ならお金が取れると思います。
――毎日読むには、エンタメ要素も必要じゃないですか?
あってもいいですけど、それはもう新聞の中核的価値ではなくて、政局やスキャンダルの消費はテレビや週刊誌、SNSでやればいいことです。事件や事故の取材も、記者の仕事に占める割合はかなり高いんでしょうけど、よほどビジネスに絡むものでもない限り、現役世代にとってカネを払うほど重要度の高い情報にはならない。
そういうどうでもいい情報が当たり前に紙面を占めているので、いくらコストをかけても記事単体でカネを取れないのが全国紙の実情です。その割には、政治家や官僚がいまだに「新聞にどう書かれているか」を気にしているのは不思議ですが。
――何でもお金に結びつけると「ジャーナリズムが民主主義を支えている」と信じる新聞業界の人たちは腹を立てるかもしれません。
だったら新聞社の人たちは「日本国民は無条件にお金を出して、社会の公器である新聞社の経営と、新聞記者の特権的な生活を支えるべき」とでも思ってるのですか? あのNHKですらあれだけ反感を買っているのに、顧客に価値を認められる商品・サービスでなければお金を支払ってもらえないのは当然です。
各新聞社が打ち出しているイデオロギー的特色なんていうのは冷戦期の遺物で、本来は邪魔な存在でしかないんです。各社の色を踏まえて複数の新聞を読めなどと言われますけど、多忙な社会人はそんなことしてる暇はない。
――横道に逸れますが、政治家や官僚が新聞だけを過剰に気にする理由が気になります。
最大の要素は内部に入り込んだ記者が記事の執筆以外で行う「工作」を恐れているのだと思いますが、それ以外には「記事が永久にアーカイブされるのは新聞だけ」という要素も大きいと思います。それがある限り、やはり新聞をゼロにしろという議論はしにくい。
いまのネットメディアは個々の記事をバズらせることしか考えていませんが、報道領域の影響力で新聞に対抗しようと考えれば、テーマの網羅性は無理にしろ、特定テーマの定点観測をきちんとアーカイブしておくことで、社会的な価値を高める視点は必要かもしれませんね。
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