『ゴシップ』8話 そもそも大手出版社の「ゴシップサイト」は3流メディアなのか問題
#ドラマ #ゴシップ #彼女が知りたい本当の〇〇
黒木華主演の連ドラ『ゴシップ #彼女が知りたい本当の〇〇』(フジテレビ系)第8話が2月17日に放送され、物語は最終版に向けて加速し始めた。第7話のレビューの最後の部分でなぜ根津道春(溝端淳平)が常にカッカと怒っているのだろうか、と疑問を呈したが、それが今回は明らかになった。
さらには、黒木演じる「カンフルNEWS」編集長の瀬古凛々子に対し、恐らく好意を持っているであろう根津と、明確に恋心を伝えた契約カメラマン・笹目虎太郎(寛一郎)の激突も期待できる展開となっていた。なかなかナイスだぞ!
※前回のレビューはこちら!
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おいおいおいおい、「こんな編集部あるかよ!」とツッコミを入れるために見始めた『ゴシップ #彼女が知りたい本当の〇〇』(フジテレビ系)が俄然、面白くなってきたじゃないか...ゴシップサイトは3流メディアなのか?
さて、今回もツッコミを入れるが、テーマは「親ガチャ」である。途中、若手編集部員の下馬蹴人(野村周平)と一本真琴(石井杏奈)が、親ガチャについて喋っていたところ椛谷静司(野間口徹)が「一体なんだそれ?」と聞くシーンがあり、「ガチャは分かりますね?」「おみくじみたいなものか?」と椛谷は答える。この言葉がわからない視聴者への配慮もできている。
第8話の主人公ともいえるのは、溝端演じる根津である。父親との悪い関係性なども含め、さまざまな葛藤があることの背景が明かされるが、復縁を迫る元恋人で大手新聞社社会部記者の女性からこう言われる。
「このまんまでいいの? 言い方が難しいんだけど、今はウェブでももうちょっと志の高いサイト、一杯あるじゃん」
そのうえで、「TOKYOPOST」という社会派雑誌と思われる記者が根津に対して興味を持っている、とその記者の名刺を渡される。要するに引き抜きである。さらに彼女は根津が「社会の裏側を明かす」ことを過去に使命としていたのだが、現状を見て「ゴシップサイトにいて、その夢叶えられるの?」と言う。
これは実に厳しい一言ではあるが、私にとっては実に刺さる。2006年、ネットニュースの仕事を始めた時、新聞・雑誌・通信社という紙メディアの人々からさんざんバカにされまくったのである。彼女の発言は全面的にネットニュースを見下したものではないものの、新聞記者・紙メディア従事者としての誇りは感じられる発言だ。ただ、今の時代、紙メディアの記者は紙メディアの今後に危機感を抱いているだけに、むしろ凛々子が目標としていた月5000万PVに近づいているという意味ではかなりの価値があるサイトに育っている。よって、正直「カンフルNEWS」の方が、大手新聞社の1社員よりもいろいろと自由に仕事ができるわけで凹む必要はない。
今、私自身は、「あぁ~あ、ネットニュース黎明期にこの仕事を始めてよかった!」という感慨しかない。2006年に開始してから16年、ネットは活字メディアとして今は王者になっている。そこに早い内に入れて本当によかった。だから47歳にしてセミリタイアができたのである。そして、今の仕事へのやりがいを感じたであろう根津は、終盤でこう言う。
「オレ、瀬古がいればカンフルが変わる気がする。だからたかがゴシップサイトと言われるのが悔しくて」
いや、ゴシップサイトは別に3流というわけではない。ここが、このドラマで最初から違和感を覚えている部分なのだ。「カンフルNEWS」を運営する「クスノキ出版」は規模からすれば講談社・小学館・集英社レベルである。「カンフルNEWS」はあくまでもこれら給料の高い「一流出版社」のウェブ部門なわけであり、そこが運営するゴシップサイトで働く人もそこそこ優秀かつ立場は高く、給料もいいであろうことはわかる。
というか、クスノキ出版には政治の闇を暴く週刊誌「週刊カンフル」があるのだから、根津は夢を叶えたいのなら「週刊カンフルに異動させてください」と願いを出せばいい話である。せっかくの小学館・講談社的有名会社の正社員の座を捨ててまで「TOKYOPOST」に行くというのは、やっぱりおかしい。
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