『関ジャム』“作曲家”布袋寅泰特集!BOØWY時代~ソロまで…謎ステップの理由も判明?
#音楽 #布袋寅泰 #関ジャム
BOØWY「B・BLUE」は○○をイメージして作った
その後、番組は布袋の40年史を振り返った。まずは、BOØWYから。82年にアルバム『MORAL』でデビューし、86年に「B・BLUE」で初のオリコントップ10入りを果たし、86年の5thアルバム『BEAT EMOTION』、87年の6thアルバム『PSYCHOPATH』で当時のロックバンドとしては異例のミリオンヒットを連発、87年12月24日のツアー最終日に突如解散を発表したBOØWY。活動期間はわずか6年だ。
というわけで、BOØWYによる数々の名曲を紹介……と思いきや、放映されたのは布袋がボーカルを取るソロ時代の映像だった。ベースには松井常松が、ドラムには高橋まことのいる“3人BOØWY”によるパフォーマンスであるが、違和感は否めない。BOØWYの楽曲は氷室京介が歌ってこそで、布袋が歌うとバンド感はほぼなくなってしまう。“氷室派”でも“布袋派”でもない筆者ではあるが、BOØWY感が強いのは、極端なことを言うと「“氷室ソロBOØWY”>“3人BOØWY”」という気がする。とはいえ、氷室がサポートギタリストとして信頼を置いたDAITAが弾くBOØWY楽曲は正確無比、行き過ぎていて打ち込みを聴いているような違和感があったのも事実だ。何が言いたいかというと、BOØWY時代の映像を使えばよかったのに……。
ちなみに、布袋曰く「B・BLUE」のギターフレーズは管楽器をイメージして作られたらしい。
「BOØWYは4人バンドだったので、いわゆるコード楽器、メロディー楽器は僕しかいないので、僕がある意味、自由に『ここではワンフレーズがブラスで“パーンパパ プッパパパ プッパパパ”ってユニゾンで鳴ってる』と、頭の中でいろんな音が鳴っているのをエフェクターとか使いながら、ギタリストとしてそれを再現していったんですけどね。4人ゆえの発想というか」(布袋)
初期BOØWY、彼らが6人編成だった時代にはサックス担当・深沢和明がメンバーだった事実を否が応でも思い出す。しかし、4人編成ではメロディー楽器は布袋だけ。だからこそ、足でエフェクターを駆使しながらイメージにある音を再現していったのだ。
「これをまた、踏んでるところをバレないようにっていうか、みんな気付かないように踊りながらやるのが好きで」(布袋)
あの独特な謎ステップは、それが理由なのか……?
BOØWY時代に続き、番組はCOMPLEX時代の楽曲も紹介。BOØWYと違ってCOMPLEXに関しては吉川晃司の映像を使えるようだ。両者ともに身長190cm超えのユニットである。2人揃って立っているだけで、文句なしにカッコいい。このユニットがあったからこそ、吉川はアイドルからロックミュージシャンへ転身できたというのが当時の印象である。一方の布袋は、88年10月に名盤『GUITARHYTHM』があり、その半年後の89年4月に『COMPLEX』を発表。立て続けにこの2枚をリリースしたのだから、スゴすぎた。
秋元康も絶賛した今井美樹「PRIDE」の歌詞
続いて、番組は布袋のソロ時代にもフォーカス。と言っても本人の曲ではなく、今井美樹に提供した「PRIDE」を解説するようだ。名曲であることに異論はないが、スゴい歌詞である。当時、布袋は山下久美子と結婚をしており、今井とは不倫関係にあった。そんな今井に「貴方への愛こそは 私のプライド」と歌わせるとは、いろいろな意味でスゴい。「PRIDE」は今も、一部で「略奪愛の曲」と認識されている。この曲の歌詞について、秋元康は「我々、職業でやってる作詞家にはあれは書けない」と絶賛しているそうだ。
Awesome City Clubのatagiは、この曲のコード展開に名曲たる所以があると解説する。
「サビ部分、『私のプライド』のコードがA♭ではなくA♭マイナーであることで、気持ちが天に昇っていくような浮遊感、気持ちよさが得られていると思います」
「僕がこの曲を聴いたときにどういう映像を思い浮かべたかといったら、主人公の女性が大事な方を思って手紙をしたためてるような。素直なコード進行(A♭)だった場合、『。』ってつけたような映像が見えると思うんです。だけど、A♭マイナーになることで『自分の気持ちが誰かに届け』という願いを持って、綺麗に浄化されていくような映像が浮かんだんですね」(atagi)
彼の解説に対する布袋のリアクションは、「自分ではもちろん感覚的に作ってるからそこまで考えていないんですけど」であった。理論的ではなく感覚的にやる布袋は逆に繊細だし、布袋の感覚的なことを説明し切ったatagiもスゴい。確かに、マイナーが入るほうが「PRIDE」は遥かにいい。
「これに美樹さんの声が乗るとストーリーが大きくなって。僕は母が亡くなっちゃったけど、生前、母が『あなた、こんなにいい曲が書けるんだから自分でもこういう曲歌いなさいよ』って。僕が歌うといい曲にならないんだよね(笑)」(布袋)
自身のボーカリストの資質をわかっているのか、布袋……? あと、布袋が女性アーティストへ提供した曲として山下久美子の曲が封印されがちなのは、個人的に残念だ。「微笑みのその前で」など良曲は多い。でも、致し方ないのだろう。
この日は『関ジャム』が布袋を特集した後、『Love music』(フジテレビ系)ではクロマニヨンズとニューロティカのスタジオライブが放映された。令和らしからぬ流れだが、アラフォー、アラフィフにはたまらなかったはずだ。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事