元芸人が見たアンジャッシュ渡部の復帰、社会から求められない復帰への期待
#アンジャッシュ #渡部建
【追記】放送された「白黒アンジャッシュ」を見て思ったこと
追記
このコラムが掲載される前に復帰第一弾の「白黒アンジャッシュ」が放送されたので、追記で感想を書かせていただく。
放送がスタートし、黒いスーツに黒いネクタイの児島さんが映し出され、その神妙な面持ちから復帰第一弾の白黒アンジャッシュは面白おかしいバラエティ番組では無いのだと容易に想像できた。番組冒頭、児島さんが1年8ヶ月前の出来事を謝罪し、さらに番組が継続できたことに対して各方面への感謝を述べる。
そして渡部さんを呼び込む前に「あいつからも挨拶があるので呼びたいと思います。今日別に俺あいつと会ってないので、なんか予定調和であいつをフォローするぞとかそういう気も一切ないんですけど……」と前置きした。
大事な復帰の回で会うこともなく、打ち合わせもなく番組がスタートするというのはどういう意図があったのだろうか。
「はいどうぞ」と少しぶっきらぼうに呼び込む児島さん。うつむき加減で登場してくるのではと予想していたが、意外にも胸を張って登場する渡部さん。「よろしくお願いします」と一礼。思ったより大きなその声はどこか自分の背中を押しているように聞こえた。
久しぶりに見た渡部さんは、目の光が無くなり、顔色も悪く、いささか老けていたように感じた。もちろん見ていなかった月日もあるのだが、それだけではないはずだ。普通の仕事もそうかもしれないが、芸人は1カ月休むと露骨に衰える。
もちろん芸的な部分もそうだが、顔つきや喋り方、姿勢に、その人から感じるオーラまでが変わってしまう。1年8カ月も休んでいたのだから別人と言っても過言ではない。さらに僕が元芸人だから感じたのかもしれないが声も衰えていたように思える。芸人は番組や舞台で大声には聞こえない微妙な大声を常に出している。そのせいで喉も強くなるのだが、日常生活では使うことのない音量なので休んでしまうと確実に喉が退化していく。わかりやすく番組後半では渡部さんの声は少しかすれていたように感じた。
テクニカル的なことはさておき、番組を通して印象的だったことが2つある。
ひとつ目は児島さんが渡部さんの復帰をお願いしたその理由だ。渡部さんの為でもアンジャッシュの為でもなく、「渡部さんの家族の為」だと。今のままでは家族がかわいそすぎる。渡部さんが一歩踏み出して変わっていく姿を見せられたら良いなというのが一番の理由らしい。いかにも初めて付き合った彼女と15年の恋愛の末結婚した児島さんらしい理由である。
ふたつ目は番組後半に児島さんが笑いを起こそうとしていたところだ。
渡部さんが休む前の児島さんはどことなく待ちの笑いというか受け手側だったような気がしていた。誰かにボケを振られるのを待っているようなイメージ。名前を間違えられるキレ芸はまさにそれである。
そんな受け身の児島さんが「渡部さんのメールの文章が丁寧すぎて困る」や「今までダサいとイジってきた舞台セットをイジれなくなった」など、何とか笑いを起こそうとしていた。どんな番組よりも笑いを起こすことが難しい状態の白黒アンジャッシュでスタッフを笑わせようとしていたのだ。先輩に対して偉そうに聞こえてしまうかもしれないが、これが1年8カ月アンジャッシュをひとりで守ってきた男の成長の証だろう。
さらにその笑いの先には渡部さん自身を反省の呪縛から解放しようとしている男気も感じた。渡部さんもそれを感じたのか、番組の最後の方でようやくアンジャッシュ渡部がうっすら顔をのぞかせた。
元の渡部さんのようになるのは相当難しいことだと思うが、家族の為にも、復帰を待ち続けた相方、児島さんの為にも、眉間にシワが寄らない笑顔の渡部さんが見れるよう願っている。30年目のアンジャッシュさんには期待大だ。
それにしても児島さんは男前だった。
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