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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 『ゴシップ』編集現場の「記事にできない」あるある
ネットニュース編集者・中川淳一郎が総ツッコミレビュー!#5

『ゴシップ』6話 黒木華も「記事にできない」? 上司ビビって記事ポシャる、編集現場あるある

編集の現場をよく取材している! と唸ったこのシーン

 こうして、いろいろな点と点が線になりつつある状況だが、安藤政信演じる執行役員の丹羽が、なぜ凛々子を編集部に送り込んだかは明かされておらず、そこも今後を見たくなる巧妙な作りになっている。そして丹羽と出世レースから脱落した椛谷静司(野間口徹)が同期だったことが明らかになり「昔みたいにたまには飲みに行ってくれよ」と丹羽がいい、糀谷が嫌がるシーンは、出世した同期とそうでない同期の悲哀を感じる。

 かくしてなかなか面白い展開になったのだが、一つ「これはよくドラマ制作陣が取材している!」と唸ったのが、丹羽がドル箱作家である南雲について、これ以上追わないよう凛々子に警告するシーンである。

 へずまりゅうを想起させるYouTuberが、凛々子から暴行を受けて全治2週間のケガを負ったと大騒ぎする動画を公開。これを見た丹羽のさらに上司のエラい人がビビってしまったのだという。

 実際、この手のことはある。世話になっている誰かについて書くことについて上司がオロオロしたり、ネットの誹謗中傷の書き込みや動画を真に受けてビビって現場の企画を潰す、というのは編集の世界では日常茶飯事だ。これが凛々子が述べた「彼を探しても記事にできない」の理由であり、サラリーマンあるあるだ。

 こうした点で第6話はなかなか優れた回となったが、ここで恒例のタイトルチェック。万引きと書店閉店が関係ないことをスクープした記事のタイトルだ。

<「閉店は彼のせいじゃない」ウグイス書店の現在と店主が南雲タケシに伝えたい事>

<万引き・書店倒産自慢の南雲タケシに元店主今でも怒り、ただし「閉店は彼のせいではない」>

 多分、こちらの方がいいだろう。ここでは「ウグイス書店」という固有名詞はあまり重要ではない。そして、後に元店主が南雲本人に怒るシーンは出てきただけに、真琴が取材した時もそのことは言っていただろう。そのため、このようにした。

 そして、毎度なのだが、ワイドショーのMCを務める大鶴義丹のイヤミで小物臭漂う縁起もなかなか毎度「いるよな、この手のクソ司会者」と思わせてくれる。今回登場した南雲だが、「この人もいい演技するな」と思い、一体誰なのかが分からなかったのだが、エンドロールを見て分かった。メガネをかけたエレキコミック・やついいちろうだったのだ。情けない男・キレる男を演じさせたら屈指の演技力があると改めて思わせた。

中川 淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)

1973年立川市出身。1997年博報堂入社、2001年無職になりフリーライターになり、雑誌『テレビブロス』のフリー編集者に同年末になる。2006年からネットニュースの仕事を開始。毎月800本ほどの記事を編集する人生に疲れ、2020年8月31日にセミリタイアし、佐賀県唐津市へ。著書は『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『炎上するバカさせるバカ 負のネット炎上史』(小学館新書)等。

Twitter:@unkotaberuno

なかがわじゅんいちろう

最終更新:2022/02/24 18:03
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